2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

King’s Men 3

『王の男』のパンフレットには、東京大学大学院教授のYという人が舞台となった15世紀から16世紀の朝鮮王朝の歴史について、解説を書いている。それは素人にもわかりやすく丁寧に、またいくら一般向けとはいえ、学問的な厳密さを失うことなく(と、そう思わ…

硫黄島に上陸できず

30日に近くのシネコンに映画を観にいった。『硫黄島からの手紙』を観にいくために。しかしチケットを購入できず。かわりに『鉄コン筋クリート』に変えた。やはり「いおうじま」とは言えず(ちなみに私のコンピュータは「いおうじま」で入れると一発変換で「…

King’s Men 2

この映画の劇場用パンフレットには、よくあるすりかえが二つある。ひとつは、誰でもが目に付くもの。もうひとつは、見過ごされてしまうもの。ともにクリシェイだが、映画の評価にもかかわるものなので、見過ごせないのだ。 主役のチャンセンに扮するカム・ウ…

King’s Men 1

宇宙人ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズ扮する)のTVコマーシャルの言い方をまねれば、“この惑星の韓国映画『王の男』は泣ける” あれは宇宙人でも泣ける映画だ。泣ける映画というようには宣伝していなかったので、最後に泣いている自分がいるのに驚いた…

抹茶と番茶

O様 無事に帰宅しました。京都のおみやげを買うのにつきあってもらい、ありがとうございます。 抹茶編 そのとき京都駅の伊勢丹の地下で、抹茶を買うのをみられてしまいましたが、抹茶は、今年の3月京都に行ったとき、京都の喫茶店(数多い京都のコーヒー専…

ターキーの焼き方

いまこの記述を呼んで、ターキーを焼こうと思う人は、いっておくが手遅れである。ターキーは通常冷凍で売られている。解凍には時間がかかる。いまから解凍しても、調理できるまでに身が柔らかくなるのは25日のクリスマスの夜くらいだろう。出来上がる頃には…

ロスト・イン・トランスレーション 2

前回16日に、立派な翻訳というのは、ヘーゲルを美しい日本語を駆使する立派な大学教授にしてしまうものだという喩えを使った。とくに他意はないとして。 他意はないものの−−そろそろ時効なので語ってもいいと思うのだが−−私はかつて大学入試の小論文の採点を…

ロスト・イン・トランスレーション

T様 御翻訳をお送りいただき、ありがとうございました。 大学のほうで受け取りました。 さっそく読ませてもらいました。 翻訳のうまさに圧倒されました。 これはお世辞でもなんでもなく、ほんとうにうまくて、 語っているのが外国人であることを 忘れるほど…

文房具

以前、イアン・マッキューアンの小説『アムステルダム』を小山太一氏の名訳で読んだとき、その作品のなかで、ある特集プロジェクトを推進いていた雑誌社の記者たちが、最後にそれが頓挫して、それ以前の雑誌の通常の特集にもどるとき、思い思いに出した企画…

欧米か

日曜洋画劇場で『ラストサムライ』を放送していた。 物語の違和感は、おそらく重厚な映像によって消し去れらるかもしれないが(そんなことはないか)、しかしやっぱりおかしい。 その最たるものが、勝元こと渡辺謙が最後に死ぬ場面。トム・クルーズの手を借り…

暗い日曜日

本日、訂正を2点。 訂正 1 硫黄島 本棚を整理していたら、城山三郎『硫黄島に死す』(新潮文庫、1997)が出てきた。短編集である。表紙やカバーにはルビがないが、当該作品のタイトルページ、文庫の解説、奥付に「いおうじま」とルビがふってある。それが正…

展覧会の絵

西洋美術館でのベルギー王立美術館展が明日10日で終わると気づいて、雨の中、上野まで出かけた。東京で10日終わってしまう展覧会の宣伝をするつもりはないが、16世紀から20世紀までのベルギー絵画の流れを70点あまりの油彩画と10点あまりの素描でみせるとい…

ある編集者への手紙

Y様*1拝復*2 丁寧なお手紙をいただき、ありがとうございました。 『***』、無事に出版ということで、お慶び申し上げます。 私の名前が訳者あとがきに載っているようですが、名前を載せないようにX*3さんに強くお願いするつもりでしたが、大学の教員の名前…

ハード・アカデミズム

昨日の大学院の授業で参加者の大学院生に質問しようとして、しなかったこと。 はい、要約そのものは、よくできていたと思います。もちろん完璧を目指すならば、全文翻訳するしかないし、そうなると要約ではなくなるので、どうしても省略はやむをえない。だか…