センサス


5年前の国税調査の時には協力しなかった。2005年は郵政民営化が決まった年である。国の基幹である郵便業務を民営化するとは、なんというアホ政府だ。それにねらいは、郵便業務の民営化ではなく、120兆円を超える「かんぽ」資金であったことはいまでは公然の事実。米国政府は要望書で自国保険業界の意向に沿う形で「簡保郵便事業から切り離して完全民営化し、全株を市場に売却せよ」と日本に要求している。アメリカの圧力によって簡保を明け渡す(ちなみにアメリカは郵政を民営化していない)。そしてアメリカの保険業界をうるおし、なおかつ保険業界に支援されたブッシュ大統領の再選を確保する。小泉政権あるいは小泉総理は「売国奴」(こういう言葉を使ってはいけないことは知っているが)だし、ブッシュの政策に加担した極悪人だと、憤慨した私は、おりしも、10月に行われた国勢調査には協力しなかった。


今回は、郵政民営化の見直しがおこなわれ、完全にもとにもどらないかもしれないが、ある程度是正されるかもしれないのと思うので、国勢調査には協力することにした。調査書を郵送した。



国勢調査はイギリスでも経験したことがある。私が間借りしていたアパートの裏口というか通用口から出ようとしたら(通りに面している正面ドアは、住人は出入りに使わない。来客は正面のドアのブザーを押して、そこから入ってくるが、住人は、いつも裏口を使う)、ドアのガラス越しにセンサスの調査員がいた。


女性の調査員が、ガラス越しに、センサスの調査員だが、この建物に入ってよいかどうかの許可をもとめると、話しかけてきたので、戸惑った私は、あなたに許可をあたえていいかどうかわからない。私のその資格があるかどうかもわからないと答えたら、いや、入れてもらわなければ困ると言って、その裏口のドアを中から開けるように迫った。


私はあわてて、その女性を中に入れた。そうならそうと、早く言えよと私は思ったのだが、単刀直入に言わないのが、イギリス流なのかもしれなかった。まあ私が英語表現になれていなかっただけなのかもしれないが。