聖地

関西における講演のあとの懇親会で、ある先生から、住まいはどちらかと聞かれた。埼玉県和光市と答えたが、よほど関東のことに詳しくない人でないかぎり、和光市といっても、どこにあるのかわからないはずだから、あれこれ説明しなければと構えたところ、ああ、和光市、知っていますという答えが返ってきてすこし驚いた。


もともと関東にいた人か、関東か埼玉県に親戚がいるとか、たまたま知人がいるとか、いろいろ理由は考えられるのだが、私がとっさに想像した理由はどれもちがっていた。私に質問した先生は、お嬢さんが東大法学部に在籍中(あるいは卒業したか)とのことだった。それがどうしたのかという私の怪訝な顔を前にして、すかさず、その先生は、司法研修所があるでしょうと、問いかけてきた。


ええ、和光市には司法研修所がありますと私は答えて、納得した。たしかに司法試験を合格したら、司法研修所での研修が待っている。和光市は、その司法研究所がある、ある意味、司法関係者にとって聖地なのだとわかった。そういう意味で、埼玉県の人口5万くらいのこの市も、司法関係者にとっては重要な市(聖地)なのであった。