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12月6日、日本海での日米共同統合演習にロシア海軍のIl-38哨戒機二機が出現、周回飛行を繰り返し、小松基地から自衛隊機が発進したことを政府は発表。テレ朝で報道ステーションではIl20とIl38が飛来したとのこと。


ちなみに演習を妨害というようは報道もなされているが、冷戦時代から西側の演習の際に東側から監視と情報収集のために哨戒機などが張り付くのは、おなじみの光景で、妨害しているわけではない。むしろイージス艦でのミサイル迎撃能力に関する情報を収集するためには演習をしてもらなわないと困るわけで、妨害などするはずもない。ましてやIl-38という、P3Cによく似たターボプロップ四発の哨戒機で電子妨害以外の妨害などできるはずもなく、もしほんとうに妨害していたら、簡単に撃ち落されてしまう。


だから、やれ妨害だの、中国と連携しているだのと、あおりたてるメディアやアナリストや評論家のほうが、危険であり、報道する側も、確かな知識をもって、冷静に報道して欲しい。


そもそもテレ朝の報道ステーションのナレーターは、Il-38のことを「アイ・エル、さんじゅうはち」と発音していた。バカか。ロシア機の場合、Ilは「イリューション」と読むのであって、ローマ字読みするのではない。ちなみにロシア機の場合ミグはMigそのままだが(正確にはミコヤン・グレヴィッチ)、Suはスホーイと読む。いずれもロシアの設計局の名称と略号。この程度の知識もない報道関係者が、ナレーターの原稿をつくったのだろうが、こうした生半可な知識、いや、たんなる無知による報道が、状況を誤解したり悪化して捉えたりしないか、それはほんとうに心配である。生半可な戦争知識しかない側が、戦争状態を引き起こしてきたことは史上多い、かなり多い、いやほとんどの場合そうであると、私は信じている。