カンポの家


簡易保険(年金保険)について、「払い込みがなかったので、解約するが、復活はできる」という通知のハガキをもらっていたことに気づいた。実際のところ、うかつにも、私は簡易保険を何時支払っているのか把握していなかった。


毎年、簡易保険を支払っていることを報告して税金の控除を受けているのだが、またその書類はまちがいないし、不正もなにもないのだが、いつ、私は簡易保険を支払っているのか、今回初めて疑問に思うようになった。


個人的に郵便局の窓口で支払ってはいない。そもそも毎月、郵便局に支払いのため出向いている記憶はない。給料から引き落とされている――それもない。郵便局の通帳から自動的に引き落とされている? それもない。あれ、私はどうやって簡易保険を支払っていたのか、情けない話だが、今回、初めて意識するようになった。と同時に、支払いがないから解約するといわれても、支払った記憶がないものを解約されても困る。


郵便局の窓口で尋ねたら、すべてが判明した。母親が一括して10年間分支払っていたのだ。それが今年で期限が切れた。それだけのことだった。実は、期限が切れるから支払ってくれという通知が郵便局からあったはずだと言われたが、残念ながら、それを見落としていた。まあ簡易保険は、放置しておいていいと思っていたから、なにかの宣伝と思って見向きもしなかった可能性は高い。私の不手際であることはまちがいない。実際、今回の支払いがないから解約するというハガキも、お茶をこぼして汚れているのだ。これだって知らずにゴミ箱に直行した可能性も高い。


復活はできた。また期限が切れてから支払っていない額(かなりの高額になったが)も支払った。10年間分支払っていた母親には感謝しなければいけない。いくら割安になるとはいえ、10年間分はかなりの金額であり、とりあえずは次の月から支払いは通帳から引き落としてもらうことにした。そうしないと忘れる可能性もあるし、残った期間、私が死んでしまう可能性もあるからだが、それよりもなによりも、まとまって払うのは、かなりの額で、今の私にはつらい。また、そのことは生前、母親から聞いていたはずなのだが、すっかり忘れていた。10年後に期限が切れるという、その10年後というのは、母親の闘病中に聞かされても、ぴんとこなかった可能性もある。母親が死んでいる10年後というのは考えたくもなかったのだ。


今回、古い通帳とか証書を探した。当時の郵政省が送った簡易保険関係のチラシとかハガキもみつかった。母親は丁寧にそれらをのけていた。簡易保険の諸制度を説明する色刷りのハガキには、若い女性のタレントが微笑みかけている写真も使われている。その写真をみて、私はあっと声をあげた。酒井法子の写真だった。ここにも税金の無駄づかいが。