徒労

本日はオバサンのところに行ってきました。
まあ無駄な一日でした。
今日は、こちらの電話機の横のスイッチが、
知らないうちに動いたみたいで
電話がかからなくなったのですが、
あわてふためいてあちこちいじっているうちに
原因がわかりましたが*1
それと同じで、
オバサンさんもこちらが面会に行ってから
変なスイッチが
入ってしまって、
途中から、これは再起動するか
リセットするしかないと
思えてきました。
というのも、オバサンは、
私のことを
甥だと認識していない。
正確にいうと、私のことを「甥」だというのだけれど
その「甥」が「しょうちゃん」だとはわかっていないみたい。
自分でもよくわからなくなってきたけれど、
オバサンは、目の前にいる私のことを
介護人の誰かとずっと思っていて、
うちとけなくて、よそよそしい。
丁寧に対応するのだけれど、
いつものように「みんながわしのことをいじめよる」
という愚痴がない。
いちばん傑作なのは、
「きょうはしおりちゃんが来るはずだったのだけれど
熱が出てこれなくなったというと、
そうか、『わしにも、姪の娘にしおりちゃんというのがいて、
小学校の二年生か、三年生になったはずじゃ』と
いうので、そのしおりちゃんと、私が言った
しおりちゃんとは、同じ子だよ、というと、
『……』」。
う〜ん、結局、最後まで私のことを介護人と思い続け、
面会に会いに来た私は、
このフロアのどこかで待っていると
勘違いしたまま。
そう、「しょうちゃんを、私の部屋で待たしておいてくれや」
というので、「ここは、オバサンの部屋で、
わたしが、しょうちゃんですよ」というと
『……』」。
でも、この施設で、オバサンのことを
「オバサン」と呼ぶのは、私だけで、
介護人が「オバサン」と呼ぶわけないのに、
いったい誰だと思ったのでしょうか。
まあオバサンは目が見えないし、耳もほとんど聞こえないのだけれど、
声とか、話し方とか、握っている手でわかっているのかと
思っていたのに、全然わかっていないことがわかった。



こんな調子じゃ、30分いるのが限度で、
帰ることになったのだけれど、
エレベーターのところでお別れしたとき、
オバサン、たまたまそこにいた男性の介護人の手を握って*2
「しょうちゃんか、ようきてくれたの」と言い出すしまつ。
その瞬間エレベーターが閉まったのだけれど、
もう一度エレベーターで上がっていって、
面会しなおそうと思ったものの、
たぶん、そうなっても、私のことを認識するどころか、
また同じ介護人かと思われるかもしれなくて、
下手をすると、これから面会に行くたびに
私のことを介護人と思われても嫌なので、
きょうは、このまま帰ることにしました。
まあ、一晩眠ってもらって、明日再起動。
それにしても、徒労じゃ。

しおりちゃんおだいじに。

*1:専門的にいうとダイヤルモードがトーンになっていました。

*2:この男性介護人、いました。