ナイトメア 3

 ワイドスクランブルテレビ朝日、正午頃)で、北海道滝川市の小学生6年生の女子がいじめを苦に自殺したことを市の教育委員会が隠していたことが取り上げられた。いじめを告発した遺書(そこにはいじめをした児童(複数)が名指しされていた)の内容を隠して、いじめはなかったという調査報告書を滝川市教育委員会が出していた。教育委員会の姿勢が批判されていた。7通の遺書のうち、いじめについて書かれた部分を削除して伝えていたことが発覚したのである。
 これに対して、たとえば私がこんなコメントを発表したとしよう。

教育委員会は、なにかをかばおうとしている。おそらくそれはいじめの張本人たちと名指された子供たちの親に金持ちの有力者が含まれていたから、その金持ちをかばおうとしたのである。教育委員会の姿勢は正しい。ほんとうか嘘かわかならいでたらめな遺書を残して死んだ貧乏人の子供のために、金持ちの有力者の子供たちの将来がゆがめられてはいけないし、ましてやその金持ちの親たちにも害が及んではいけない。格差社会では金持ちはなんとしても守らなければならない。金持ちから税金をとってはいけない。金持ちは常に正しい。法律で罰してはならない。もしいじめを受けた女の子が、もし金持ちだったら、教育委員会の対応もかわったかもしれないが、そもそも格差社会では金持ちは絶対にいじめちゃいけないので、そのようなことはありえない。滝川氏の教育委員会格差社会の優秀な番人である。褒め称えられこそすれ、批判されてはならない。

 これだげ馬鹿なことを書けば(事実無根であるかどうかとは全く別に)、おまえはアホかと非難されてあたりまえだし、私を知る人たちなら、痛烈な皮肉を語っていると受け取るだろう。しかし、もしこのとき、いやあ、あなたの語っていることは正しい。私も全く同感ですというような人間が現れたら、私はもう絶望するしかない。
 これはたとえ話である。しかしほとんど同じようなことが実際に起こっている。9月24日付けのブログをみよ。現時点ではまだ書き込んでいないが。
 なおワイドスクランブルでは、この報道の前に、先に亡くなった俳優丹波哲郎の葬儀において愛人の女性とその息子が列席したことを報じていた。かつて愛人が発覚しても、またその子を認知したことがわかり隠し子騒動が起こったときも、わるびれず、堂々と芸能記者たちに受け答えた丹波哲郎の豪放磊落な性格と、また愛人親子を列席させた長男(正妻の)ことが美談として語られていた。
 しかし、丹波の愛人騒動のことは周知の事実とはいえ、むしろ丹波は生前、病気で寝たきりの正妻の介護で美談になっていたはずだ。大俳優が病の妻を介護している、その姿がまれに見る美徳として語られていたことを私は憶えている。だが愛人がいて、おそらく介護だって人にまかせきりだったかもしれない。そのことを今回のワイドスクランブルは全く隠蔽している。やっていることは、滝川市教育委員会と変わりない。