ターキーの焼き方

いまこの記述を呼んで、ターキーを焼こうと思う人は、いっておくが手遅れである。ターキーは通常冷凍で売られている。解凍には時間がかかる。いまから解凍しても、調理できるまでに身が柔らかくなるのは25日のクリスマスの夜くらいだろう。出来上がる頃には、クリスマスは終わっている。


もちろん23日の時点で冷凍ではないターキーを調達できれば、いまからでも十分に間に合うが、それが出来る人は数が限られている。


ここではクリスマスシーズンにデパートに出回っている冷凍したターキーを使ったクリスマスのターキーの焼き方、それも失敗のない焼き方を紹介したい。


0.自分の家にガスオーヴンがあることが望ましい。焼き時間は2時間から3時間あるいはそれ以上かかる。その間、ずっと火を止めないから、光熱費もかからないものいったらガスオーヴンが適切である。しかしそれ以外のものでも不可能ではないが。


購入するターキーは、自分の家のガスオーヴンに入る大きさでないといけない。とはいえ日本では、そんな大きなターキーなどめったに売っていないから、小型か中型のものを購入することになる。


今年はデパートで中型のターキーを買った。もっと小型のほうがよかったのだが、残念ながらこれしかなかった。思い。6000円くらいした。21日に購入。


帰ってきたら冷蔵庫で解凍。冷蔵庫から出して部屋でも解凍。調理は23日の夜におこなう。


1.解凍したら


1.1.解凍したターキーは、処理してある胸の部分の空洞に、レバー、砂肝、ハツが袋に入っている。これらを詰め物として使う。


1.2.腹の空洞の部分にはたいてい首が入っている。この首は食べないが、料理に使う。


1.3.解凍したターキーはよく水気をとっておく。


2.詰め物


解凍後は、ターキーにシーズニングするのだが、その前に詰め物を作っておいたほうがいい。詰め物はa)香りをつけるもの、b)こくとか風味をつけるもの、c)肉を脂でしっとりさせるもの、d)その他だが、最初の3点が重要である。


2.1.c.まず臓物を詰め物とするが、それぞれ細かく刻み、同じくらいに細かく刻んだ玉ねぎとともにプライパンで塩コショウしていためる。これだけでオカズになるくらい美味しいいためものになるが、ご飯のオカズとして食べることなく、覚ましておく。①


2.1.a.香りをつけるのは「パセリ」と「セロリ」それに「レモン」の皮である。レモンの皮は当然、ワックスなどかかっていない国内産。それぞれみじん切りにしておく。量は多くてかまわない。②


2.2.b.こくとか風味には、まずナッツ類が要る。「クルミ」は多めに。それ以外のものとして「カシューナッツ」、ピスタッチオ、ピーナッツなんでもいいが、クルミが基本。「松の実」もいいだろう。どれも細かくみじん切りもしくは粉状にしておく。③


2.3.b.ナッツ類とともに忘れてならないの、キノコ類。マッシュルームが基本なので、大量に用意。マツタケだって用意できれば風味が付いていい。シイタケは味が和風もしくは中華風になるので避ける。エリンギなどはいいかもしれない。どれも細かくみじん切りにする。④


2.4.c.ターキーは肉厚だが、そのぶん、焼くと身がぱさぱさになる。なんとかぱさぱさになるのだけは避けたいので、脂っこいものを詰め物として入れる。生のソーセージ(豚肉)などをほぐして入れてもいい。


2.5.c.その他肉類として、私は生のハンバーグの元を買ってくる。シーズニングしてあるし、それをくだいてつめものにする。ソーセージ(豚肉)とハンバーグ(牛肉)で動物分の脂肪を補給することになる。


2.6.d.あとパン。パン粉でもいいし、ふつうの食パンをサイコロ状に切ってもいい。パンはお米のかわりである。米ないしもち米を使ってもいいが、米は火が通らなかったりすると失敗するので、失敗をしないターキー作りのためには米は避けて、パンにする。


2.7.d.フルーツを入れることもある。以前、リンゴとかその他香りづけになりそうなフルーツを入れたことがあるが、ターキーのお腹のなかでフルーツが蒸されてゆくと、それが香織付けを通り越して、生ゴミの匂いになることがあるので、要注意。フルーツは使わないほうが無難だと思う。


2.8.a.b.c.d.以上、すべての材料をボール入れてよくまぜあわせ、これを詰め物とします。分量は多めに。ターキーの胸とお腹、とりわけお腹にはけっこう詰め物が入るので多めにしておいて失敗はない。あまった詰め物は、チャーハンの具にしたり、特製ハンバーグとか使い道はある。最後につなぎに生卵を1個か2個入れて、よくまぜておく。詰め物以上。


3.1.ターキーの処理。解凍して水気を切ったターキーは、全体に溶かしバターを塗り、塩と胡椒でシーズニングする。シーズニングはお腹のなかまでしっかりと。


3.2.シーズニングが終わったら、詰め物をいれてゆく。胸の部分に詰め物を入れ、皮膚でふたをするかっこうにする。背中のところで皮を止めておく。爪楊枝か武串でけっこう。


3.3.つぎにお腹のなかに詰め物を入れる。けっこうな量だが、パンパンになるまでいれる。あと脚をタコ糸で縛る。


3.4.ここからがイギリス風なのだが、つぎにベーコンで全体を覆う。かなりの量のベーコン、それも脂身の多いものがいい。全体をベーコンで覆って、ターキーの皮がみえないようにする。これはターキーの皮ならびに肉に塩分と脂肪分をあたえ、肉がパサパサにならないようにするもの。かなりの量のベーコンを使うので多めに用意しておくこと。私はもちろん発色剤の亜硝酸Naを使っていない安全なベーコンを使うが、これはけっこう高くて泣く。


3.5.オーヴンの皿にも溶かしバターを塗り、そのうえに3.4.までに処理したターキーを載せる。ターキーの横には首を置いておく。これからが重要なところ。


3.6.ターキーを直火で焼くと、パサパサニなりがちなので、あくまでもジューシー感を保つために、最初はじっくりと蒸し焼きにする。そのためにトレイに置いたターキーをアルミフォイルで包んでゆく。このときぴっちと包むのではなく、余裕を持って、ふんわりとターキーを包むようにする。


イギリスではクリスマスの時期には、幅が一メートルもありそうなアルミフォイルをスーパーなどで売り出すが、これはターキーを焼くときに、蒸し焼きにするためにターキーをつつむためのものである。残念ながら日本では、そんな幅広のアルミフォイルは売っていないので、ふつうのアルミフォイルフを何層にも重ね、空気が漏れないようにする。


3.7.こうしてあらかじめ暖めておいた200度のオーヴンで2時間から2時間30分焼く。最初は蒸し焼き状態なので、じっくり焼く。大きさにもよるが2時間30分くらい焼けば、失敗はないだろう。


4.1.ターキーが焼ける間に、後片付けをして、付け合せの野菜をつくる。
基本はジャガイモとニンジンとグリーンピースである。あとインゲンもいいし、芽キャベツなどあればごちそうになる。
どれも茹でるだけ。温野菜とする。ジャガイモやニンジンに、乾燥パセリをふりかけると欧米感が増す。


5.1.2時間30分たった。オーヴンからトレイごとターキーを取り出す。
そして何層にもなったアルミフォイルを取り除く。
そうすると高温の蒸気が勢いアルミフォイルの間からふきだす。


5.2.つぎにターキーを覆っているベーコンを取り除く。
ターキーは、ベーコンに覆われ、アルミフォイルのなかに密閉され蒸し焼きされたので、皮は真っ白である。煮たのとかわらない状態にになっている。


そして武串をさす。皮膚に穴が開き、一瞬後、肉汁が出てくるが、それが透明なら、中まで火が通っている証拠。また刺して抜いて竹串を触ってみて、竹串の温度からターキーの内部の温度を推測することもできる。


望ましくない状態 1)アルミフォイルを取り除いたとき高温の蒸気が勢いよく噴出さない。


2)竹串を刺したあとから出てくる肉汁が濁っていたり、透明な肉汁でも勢いよく出てこないこと。3)刺した竹串の温度が低いこと。このときは面倒でも、もう一度アルミフォイルでくるんであと30分くらい蒸し焼きにする。30分後、同じ作業を繰り返し、中まで火が通っているか確認する。


5.3.このときどうなっているかというと、真っ白なターキーが、トレイにあふれ出そうな肉汁のなかにおかれている。肉汁にはさきほどまでターキーを包んでいたベーコンが置かれ、首も置かれている。肉汁はトレイからあふれ出そうになっている。

つぎにオーヴンの温度を250度から300度にして一気に焼き上げる。皮に焼き色をつけるのである。その際、5分か10分おきくらいに、肉汁をターキーの皮にかけて、皮が乾燥しないようにする。肉にジューシーさを保つのである。


トレイはいちいち出してもいいし、出さなくてもオーヴンから半分出した状態で、スプーンで肉汁をすくいかけてやってもいい。


肉汁をかけることバスティングを30分繰り返すとどうなるかというと、ターキーの皮の表面に焼き色がつく。ただし、この焼き色は、市販の焼いたターキーと鶏とちがい、狐色ではない。むしろ表面がやけどした赤黒い色になるが、これでいいので、あわてない。


さてじゅうぶんに焼き色がついたと判断したら、トレイごとターキーをオーヴンから取り出して、さらにトレイからもターキーを取り出し、あとは余熱で中まで火が通るようにさます。


6.グレイヴィーソースの作り方


6.1.ターキーを取り除いたトレイの状態。
まずターキーの肉汁がたっぷり出ている。焼け焦げたベーコン。これも焼け焦げた首。
このうち肉汁は捨てます。焼けたベーコンと首はダシをとるため残します。
6.2.肉汁を捨てたトレイに水を入れる。
また固形コンソメスープの素などを入れる。これは味を調えて失敗がないようにするため。


シェリー酒がいいのだが、なければ料理用赤ワインを入れる。沸騰させるのでアルコール分はなくなる。
こうしてトレイの内部についた焼け焦げが水にとけて、うまみとこくの材料となる。
焼け焦げをこそげ落とすことが重要。
さらに焼けたベーコンや首からもダシが取れる。
また固形のスープの素も入れているので味に失敗はない。
シェリー酒かワインで味にこくがでる。
こうしてよく煮立ったら、首とベーコンを取り除き、
さらにスープを良く漉して、固形物がないようにする。
もう一度スープを火にかけ、
水溶きしたコーンスターチを入れてとろみをつける。
こうしてグレーヴィーソースが完成する。


7.切り分け方と盛り付け


7.1.一番よい部位は脚である。両脚は、一番おいしいところ。うまくいけば脚は肉がジューシーで柔らかい。脚を関節のところで切り取ったら、次は胸の肉をスライスして切り分ける。胸肉はターキーの肉の味や香りが凝縮されているが、うまくいってもパサパサ感は残る。胸肉は、鶏肉に比べると圧倒的に量が多い。それがターキーの特徴にもなっているが、ここはいつも残る。


7.2.盛り付けは、ターキーの脚なり胸肉を皿に置き、横に用意していた温野菜と詰め物も置き、好きな分量、グレーヴィーソースをかけて食べる。鳥肉は欧米では甘いフルーツ系のソースで食べることも多いが、これはうまみのあるタレで食べることを前提にしている。


8.余ったら


ターキーは必ず余る。余ったら肉はラーメンやスパゲッティの具、サンドイッチ。またサラダにも使う。詰め物も食べ方を考えると面白いかもしれない。


以上、メリークリスマス。