King’s Men 1

宇宙人ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズ扮する)のTVコマーシャルの言い方をまねれば、“この惑星の韓国映画『王の男』は泣ける”


あれは宇宙人でも泣ける映画だ。泣ける映画というようには宣伝していなかったので、最後に泣いている自分がいるのに驚いた。まあこれは映画会社の宣伝方法にも問題があるのだろう。とはいえ強調の置き方の問題であって、『007カジノロワイヤル』に関する映画会社の宣伝(それをテレビなんかも踏襲していたのだが)ほどひどくはない。つまり『007カジノロワイヤル』は、若き日のジェイムズ・ボンドが007になるまでの物語という宣伝しているが、まったくの嘘。映画を見た人ならわかるように、あれは現代の話(9.11以降の話)で、なおかつジェイムズ・ボンドは映画のはじまりからすでに007に昇格している(昇格が早すぎたとは言われているが)。若き日のボンドの話ではなく、今現在、新しく007が誕生したという話。なぜそういうように宣伝しないのか不思議だ。


それはともかく、『王の男』の関連で話をつづければ、映画はすばらしいが、劇場用パンフレットはなんだかへんだ。キャストとスタッフについて、紹介してあっても年齢がわからないのは不思議(生年くらい、たいていのパンフレットに書いてある。なかには生年と誕生日まで書いてあるものもある)。しかしもっと不思議なのは、映画のタイトル。


私はこれをKing’s Menという意味かなと考えているが、パンフレットのなかの監督インタヴューに書いてあった。引用してみる。

本作のタイトル『王の男』の意味とは?


「男性VS.女性」というコンセプトに見られるような一般的概念とは対照に【ママ】、ある意味矛盾した、逆説的な対比を示しています。「男と女」という性別の違いによる対比を超えたところで、人間の価値を表現しようと思いました。コンギルはヨンサングンの心の隙間を埋めてくれる存在のようでありながら、そのコンギル自身もまた、ひとつの幻影に過ぎない。全ての人間に当てはまるそういった矛盾、パラドックスを意味しているのです。

はあ? 最初、私は自分の頭の悪さ、理解力のなさを恥ずかしく思ったが、こんな文章理解できるか。それに質問に答えていない。通訳か翻訳者が力不足なのか、ほかに原因があるのかわからないが、これはひどい。(つづく)