硫黄島に上陸できず


30日に近くのシネコンに映画を観にいった。『硫黄島からの手紙』を観にいくために。しかしチケットを購入できず。かわりに『鉄コン筋クリート』に変えた。やはり「いおうじま」とは言えず(ちなみに私のコンピュータは「いおうじま」で入れると一発変換で「硫黄島」になることがわかった。感じ悪い)。

まあ学生に言わせれば「いおう〜」と大きな声で言えば、「じま」と言わなくてもチケットは買えるとか、あるいは「いおうムニャムニャ」と言ってもいえばいいじゃないかとか、さらには「いおうとう」と言ってもチケットは買えますよとか、シネコンに行くんだったらネットで買えますよとか、呆れられたり、冷められたりしている。


そもそも、いわゆる「太平洋戦争」の戦場となった島は、ルソン島であれ、サイパン島であれ、レイテ島であれ、とにかくみんな「とう」と読むのだし、戦争中は「いおうとう」だったのだ。アメリカ人やアメリカ軍がそれを「いおうじま」と呼ぶのはかまわない。いや、かまうのだけれど、そんなものほうっておけばいい。「いおうとう」を「いおうじま」と呼びかえることによって失われるのは戦争の記憶である。そしてまたそれはアメリカ化そのものである。戦争はこうして二度も三度も負けることで、まったくその意味が形骸化してゆくのだ。


誰かがチケットくれたら行こうっと。まあDVDが出るまで待つか?