ディパーティッド

Movie Walkerというサイトでは、映画の情報(上映館など)を提供すると同時に、映画のレヴューを掲載している。そのなかにこんなのながあった。

インファナル・アフェアと比べちゃいけない
もともと台湾映画をアメリカ人にわかりやすく変えただけって感じ
やるなら思いっきり変えてほしかった
物足りない

なんで台湾映画なのか。ほかのレヴューアーがみんな香港映画といっているのに、この**だけ「台湾映画」と言っているのは気になった。その感想には同意するので、なおのこと違和感が残った。


おっちょこちょいなのかな。『インファナル・アフェア』三部作を見ていれば、台湾映画でないことはすぐわかる。第二部では香港返還の話も出てくるのだから、どうみても香港映画。実は台湾映画なのかと、疑念が湧いてきて調べたが、やはり香港映画。


見ていないのかな。見ていないのに偉そうなことを言っているのかわからないが……。


しかしレヴューアーのなかには、これもよりもっとひどい奴がいた。匿名での投稿だが、自分のことを「「できるだけ定価で映画を観ないウォーカー」中堅編集デスク」と紹介しているのだ。


べつに招待券で映画をみて悪いとはいわないし、「中堅編集デスク」なら、招待券が簡単に手に入るのも事実かもしれないが、それをわざわざ自慢することはない。自虐的ギャグというわけでもないだろう。「招待券では絶対に映画を見ない」というのなら、それは偉いし、見上げた根性である。拍手したい。だが「招待券でしか見ない」のを、繰り返すが、それを悪いこととはいわないが*1、価値観が崩れているとは間違いなく言える。編集デスクというのだから、出版社ではないくメディア関係の人間かもしれないが、恥を知れ。


映画『ディパーティッド』はどうしても香港映画『インファナル・アフェアー』と比べてみてしまうので、良い観客になれないのだが、やはりディカプリオと組み始めてからスコセッシもおかしくなったとしかいいようがない。スタイリッシュすぎたり複雑すぎたりした香港映画に比べると、こちらはリメイクというよりも気の抜けた二番煎じ*2マット・デイモン(香港版ではアンディー・ラウ)とレオナルド・ディカプリオ(香港版ではトニー・レオン)のふたりにからむ精神科医は香港版ではマギー・チェン、アメリカ版では西田さんだからな〜。


ただ興味深いこととして――香港版では、主役二人をそれぞれ二人の俳優(つまり少年期から青年期にかけてと、青年期以後とを演ずる二人の俳優)が担当したが、アメリカ版ではマット・デーモンそっくりの子役が彼の子ども時代ガキ時代を演じてはいるが、マット・デーモンもディカプリオも一人のなかに少年性を内在させていたこと。まあふたりとも童顔というか少年顔で、実年齢では30代なのだが*3、ふたりとも20代前半、あるいはTeensと言っても通用する。これは彼らふたりの少年の物語といえなくもない。そういえば『武士の一分』でも木村拓哉という童顔の少年のような侍が意地を通す話でもあった。少年物について考えてもいいかもしれない。

*1:ある新聞社では社に送られている大量の映画招待券をプールして招待券を利用して映画をみる映画クラブを作っているというのを聞いたことがある。なお映画評論家でもないのに、映画のレヴューを投稿しようとするなら、金を払って映画を見ていないかぎり、自分の判断の正当性、自分の判断を人に伝える権利というのは生じないのだ。

*2:こんなのがアカデミー賞にノミネートされただけでもおかしい。絶対にアカデミー賞を取って欲しくない。

*3:ディカプリオLeonardo DiCaprioは1974年11月11日生まれ、蠍座、誕生日は私と一日違いで現在32歳。マット・デーモンMatt Damonは1970年10月8日生まれで、現在36歳。