読書会ひとり


Fredric JamesonのThe Late Marxismが今年の1月に発売になっていたのを知ったので、改定新版かと取り寄せたら、別に以前の版と同じ。ページ数は変わっていないのだが、活字が初版の95パーセントくらいで、なおかつ紙面が小さくなったので、ただでさえ読みにくい本が、きわめて読みにくくなった。これはラディカル・シンカーRadical Thinkerシリーズ仕様で重版されたのである。


イギリスの出版社Versoの過去の思想系出版物のなかで、定評ある、古典的・標準的著作を12冊選んでRadical Thinkersとしたシリーズで、すでに第一シリーズ12冊は刊行済み。今回第二シリーズとしてさらに12冊が選ばれたということだ。そのリストをあらためて眺めて、月一冊で、一年計画で、読書会ができないかなと考えてみた(第二シリーズはけっこう手ごわい)。授業ですればいいといっても、思想系の内容なので、私が担当できる関連授業はない。読書会をするしかない。


ただし私は文学文化系の教員なので、思想系の学生・院生を知らないないし、また文学系の学生・院生で思想系に興味のある学生は、いまの私の周囲にはいない(皆無ではないにしても)。


以前、ネットで読書会を試みたという話を聞いたことがある。私が知っている限りでは、、結局、うまくいかなかったということらしいので、どういう段取りかも聞かずじまいなのだが、とりあえず一人で月一冊のノルマを決めて読むことにした。またそれはいずれ人を集めて読書会をするときの準備にもなろう。


12冊だから月一冊で、第一シリーズを読破できる。また選ばれた12冊は、選択に疑問もないわけではないが、Versoの出版物という制約からくるものなので、しかたがない。また第一シリーズ中8冊が、すでに日本語訳として存在する。あとノルベルト・ボッビオの本も選ばれているのだが、数あるボッビオの日本語訳に含まれているのかどうか、不明。それもあわせればシリーズ中9冊に日本語訳があり、未訳は3冊となる。


私自身、12冊全部ではないが、かなり読んでいる――日本語訳と英語と英訳で。とはいえ日本語訳や英訳が信用できるかどうか、わらかない部分もあるので、可能ならば英訳だけでなく、原文も参照すべきだろう。とはいえ私にはイタリア語はむりだし、アドルノのドイツ語は難しいし、デリダのフランス語はさらにむつかしいので、英訳どまりかもしれないが。


またどれから読み始めるかという問題もあるが、あれこれ順番を考えると、つぎつぎと言い訳が出てきて逆に読めなくなってしまうかもしれないので、シリーズの順番どおりにする。ということで第一シリーズの第一作品はアドルノの『ミニマ・モラリア』。私は、昔これを日本語訳で読んでしまったので新鮮味はないが(というのは嘘で、実はかなりの部分を忘れているので新鮮味はある――中高年の悲哀じゃ)、あらためて英訳を中心にもう一度読んででみることにする。次はアルチュセールマルクスのために』。


一人読書会の報告は毎月ここに掲載する。なんだかちょっと緊張する。


Good Luck! 自分自身に。