食のエグザイル


船酔いには二段階あって、最初は、苦しくて「これで自分はしぬんじゃないか」と思うらしいのだが、それがこうじて次の段階になると「早く死にたい」と思うらしい。私も船酔いではないが、病気で二段階の苦しみを味わった。たしかに、最初は、このまま痛みが続くと死ぬんじゃないかと思ったのだが、それがさらにすすむと「早く殺してくれ」と思うようになった。


というわけで医者から、油物や卵を食べないようにといわれているので、ここ3ヶ月くらい食事には気をつけている。あの苦しみを味わうのは、さすがに嫌なので、食事制限は守っている。ただそうなると食べられないものが多くなる。健康な人なら問題ない食事が、こちらには食べられなくなった。食のエグザイル。で、たしかにエグザイルになると、ふつうでは見えないものが見えてくる。


テレビの料理番組やグルメ番組をみていると、私には食べられないものばかりが紹介されるのだが、それにしても紹介される料理、どれも油、使いすぎ。こんなに油漬けの料理を食べていたら、健康に悪いことは目に見えている。料理人やグルメレポーターが悪魔にみえてきた。彼らは、どうしようもない犯罪者だ。一刻も早くこんな詐欺師と犯罪者の世界から抜け出したほうがいいのでは、と、そんなふうに思えてきた。


私は愛国主義者でも民族主義者でもないが、日本人は、伝統的な日本食のよさを見直して、こんな油漬け卵中毒の食事から抜け出さないと、未来はなくなるのではないかと心配になってきた。とはいえ油漬けの食事に洗脳されているような壊れた日本人が早死にしてくれれば、すこしは世の中がよくなるかもしれないのだが。