夜の来訪者


うっかりして気付かなかったが、プリーストリーの『夜の来訪者』が文庫で翻訳されていた(安藤貞雄訳、岩波文庫、2007)。今年の2月に発売されていた。あの頃は、大学の仕事が忙しかったし、胆石の発作が起こる直前だったので、気付かなかった、気付く暇がなかったのかもしれない。結局、2月から3月は入院のため、いくつかの観劇予定をキャンセルした。というかキャンセルできなかったので、お金を無駄にした。そんなこともあって演劇がトラウマになっていたのかもしれない。


ただし「夜の来訪者」とういタイトル。文庫版の解説にもあるとおり、日本で長く踏襲されてきたものとある。つまり長く上演されてきたし、親しまれてきたということだが、比較的最近では『インスペクター・コールズ』と原題そのもの(原題には冠詞のAが入るが)のカタカナ書きタイトルでの上演もあった。


もうすでに終わったのだが、前期の英文学史の授業で、プリーストリーについても演劇史枠のなかで簡単に触れ、代表作は『インスペクター・コールズ』と紹介した。すでにそのときには岩波文庫版が巷に出ていたわけで、ちょっと恥ずかしい。とはえい学生からは指摘はなかったが、たぶん気付いていても黙っているだけなんだろう。