蠔勇俊


本日は、韓国と日本の研究者(女性史、女性問題研究者)の合同のシンポジウムで、私は午後3時45分の会からのシンポジウムの二人いるコメンテイターの一人としてコメントすることになっていた。4人の発表を聞いて、コメントするときの、持ち時間はきっかり10分。これを絶対に超えてはいけないといわれていた。発表原稿は、前もって配られていた。当日、会場でも、発表者全員の発表原稿は配布された(分厚い冊子のなかにひとつの発表の日本語版と韓国語版が並存している*1)。だからコメントすることも、あらかじめメモしていた。コンピュータで書いて印字した用紙をもっていった。


このシンポジウムは、春ごろに話があって、コメンテイターならとお引き受けしたものだ。シンポ前日の見学ツアーは参加しないことを前もって伝えておいた。まだ胆石を抱えているときだったので、また手術の予定もはっきりしなかったので、食事制限が続いているかもしれず、集団行動で食事までいっしょにすることはむつかしいと判断したからである。ただそれにしても持ち時間10分ではたいしたこともできないから、シンポジウムには当日午前10時の会から自分の会までずっと参加する予定でいた。そう伝えていたけれども、なんというか予想できない事態が生じて、9月に出版予告が出ている本(翻訳)にもかかわらず、まだ校正は終わっていないは、あとがきや索引や訳注はできていないはと、たいへんな状況がつづいていて、毎日突貫工事である。責任は私にあるのだが。そのため当日、自分の会だけ参加することにした。午前中はむりでも午後1時から参加しようとしていたのだが……。


当日、余裕を持って会場校に到着したが、建物はわかったものの、裏口のようなところから入ってしまって、建物のなかで迷ってしまい、会場の大教室に到着したのは、開始5分前をきっていた。幸い、前の回がまだ終わっていなかったので、迷惑をかけることはないとほっとしたのだが、昨年のシンポに当日寝過ごして、30分前の打ち合わせに間に合わなかったという前科があったため、今回も、当日、ぎりぎりまで準備していたと思われたのはショック。準備は、数日前に終わっていたのだが、まあ、自業自得か。


さて、いよいよ本番で、実際に発表を聞いてみると、前もって配布された原稿と内容は同じとはいえ、その場での印象がすこしちがったり、若干の内容変更があったりして、やはり当日、その場で、コメントを練り直さなければいけなかった。


最初の発表者(韓国の大学の先生で文化研究の専門家)の原稿のなかに、最近、韓国の雑誌で行なわれた人気男優38人の名前が全員列挙してあった。私はそのリストを前もって検討していて、「よん様」が38人中35位であることを驚きとともに発見した。これをネタになにかコメントできるのではないかと、メモしておいた。


ところが当日の発表で、発表者から、このリストについての説明があった。表記の仕方が悪くて、誤解が生じたかもしれないので、お詫びするとともに、ぺ・ヨンジュンは、さすがに日本でも「よん様」といわれるくらいなので、38人中35番目に書いてあるが、35位ということではなくて、順番をつけるともっと上位である、と。


え、それじゃ、用意したネタが使えないじゃん。ちょっとあせったが、この用意したネタが使えなくなった、どうしてくれるということをネタにしようと、その場でメモして、赤いインクのボールペンで、そのメモを大きく囲んでおいた。


あとヨン様話はないかと思い、話の枕で、最近、学生といっしょに新大久保の韓国料理店に行ったら、そこはヨン様ファンの聖地のような料理店で、店中、いたるところにヨン様の写真が飾ってあり、ヨン様グッズもあったようだ。ヨン様人気は、衰えていないとはいえ、沈静化している感じもするので、その店に入ったときには、ちょっと過去にタイムスリップした感じがあった。学生から推薦された店ではあったが、どうも昼のランチのほうがメニューも豊富で、ボリュームもあり、なおかつお手ごろな価格で、さぞかし昼はにぎわうのではないかと推測されたが、夜は、まあふつうの韓国料理店であった。面白かったのは、テーブルとテーブルの仕切り版に、ヨン様のポスターが貼ってあって、一瞬、お、ヨン様が焼肉を食べにきていると、勘違いするような仕掛けになっていて、びっくりしたとかなんとか言って、軽く笑いをとろうと思ったが、そんなことをしていたら、持ち時間の10分があっというまになくなってしまうので、この話は割愛した。

*1:私の韓国語の勉強ははじまったばかりで、これを読みこなせる能力などまったくないが、アカデミックな文章を日日本語と韓国語の併記なので、将来貴重な「教材」として、私に役立ってくれそうなので、ちょっと嬉しい。