チョコレート 1


先週からハル・ベリー主演の『パーフェクト・ストレンジャー』が公開されているが、私はすでにDVDで見てしまった。まあ日本で公開されないだろうと思って、アメリカから購入してしまうことがあるのだが、これもそのなかのひとつ。


これまでアメリカ版のDVDの予告編をみて、これはB級で日本で公開されそうもないのだけれど、どういうトリックなり設定をなのか気になり始めて購入したのがThe Forgotten(2004)。ジュリアン・ムーアが相変わらず追い詰められた主婦の役で登場するのだが、現実改変の原因はなんだろうかと予告編をみて気になり始めた。夢落ちかもしれないが、それはありきたりだけどもぎりぎり許せると考えた。しかし、もしこうだったら怒るぞという設定をすぐに思いついたのだが、まあ、そういうことはあるまいと、届いたDVDを見てみた。そして怒った。しかも、まさか日本で公開されることはないと思ったそれが日本で公開された『フォーガトン』というタイトルで。私はその映画の設定がひどいといいうことは黙っていたが、見た人たちは、みんな唖然としたようだ。


それからウッディ・アレンの新作はどうして公開が遅いのだろう。『マッチポイント』も『スクープ』も日本公開が遅すぎる。どちらも日本公開前にDVDで観た。


なお『パーフェクト・ストレンジャー』は、物語がちょっと古い。なぞがあり、どんでん返しがあるのだが、プロットが古い。あと映像的に面白いところがあったのだけれど、それがどんなものだったか思い出せない。見直せばいいのかもしれないが、いま見当たらない。


ただハル・ベリーといえば、やはり『チョコレート』だろう。現代はMonster’s Ball。意味は映画をみないとわからない。日本語の「チョコレート」というタイトルは悪くないと思うのだが*1、人種問題がらみの内容の映画では、「チョコレート」が肌の色を暗示することになり、このタイトルは、英語圏だったら選択されないだろう。


この『チョコレート』をめぐって、これが日本で公開された当時に、青山東とか青山西ととか、そんな地名の名前の評論家みたいな人間が新聞にコラムを書いていて(昔のことだから、こちらの記憶もあやふやなので、まちがいがいである可能性も高いのだが)、そこでなぜ人種差別が残っている、あるいは人種差別が激しい町で、白人と黒人の女性が仲良くしていても、誰もなにもいわないのかという問題を提示していた――そして答えていた。ふたりは、おそらく町の人たちに相手にされていない、それほどまでに孤独な存在なのだ、というのが答え。

この映画を観たことがない人なら、なるほどと思うだろうが、映画を観た人なら、ちょっと唖然とするような記事だった。試写会で、おまえ、眠っていたのか…… (つづく)

*1:なお日本語のタイトルは、主人公がいつもダイナーで食べているチョコレートアイスクリームを指示し、そこにある種の幼児性と欠如した母性性が暗示され、それが肌の色にもつながるという、それなりにすぐれたものだが……。