それって私だけ


東京テレビの午後9時からのヴァラエティ番組『お茶の間の真実 それって私だけ』を時間があれば毎回見ているのだが、今回は、たとえば「新聞の折り目と角がそろっていないと許せない人」が話題のひとつとして取れ挙げられた。最終的にゲストの習慣は、日本全国1万人にアンケートをとることになっていて、「新聞の折り目と角がそろっていないと許せない人」というのは1万人中、38004人いた。けっこう多い。几帳面な人が多いということか。


このことは、以前、母親が気づいていたことでもある。私の住んでいる団地でも、以前は、古新聞の各戸別収集をしていて、毎週、特定の日に各戸の玄関の前に、回収してもらための古新聞が積まれた。新聞を積み重ねてあとは力づくで紐で縛るだけというのがふつうだが、時々、実に綺麗な新聞の塊が置かれていることに母親は気づいた。折り目と角がそろっている新聞を重ねると、紙の束を裁断したような綺麗な立方体になる。それをみてため息をつきながら、新聞はこういうふうにしてたたんできちんとしてださなければと母は言ったものだが、結局、それは実行されなかった。新聞をきちんとたたまないと気がすまない几帳面なひとは全人口の三分の一以上はいるということだろう。


それはともかく今回、ゲスト(とういよりもこの番組のレギュラーだが)の関根つとむが、即興的に本屋で活字を読むと便意をもよおすという自分の癖のようなものを話していて、スタジオの聴衆50人に即興的にアンケートをとってくれと要求して、その結果、書店に入ると便意をもよおす人は50人中4人いた。けっこう多いほうである。


というかもっと多くても不思議ではない。番組では書店の店員にインタヴューしていて、トイレに行く客は多いという証言を引き出していた。書店で便意をもよおす人はけっこういそうなのだ。私自身は、そういうことはないが、便意をもよおすという知り合いが私にはいる。その人は出版社の編集者なのだが、本を売るというよりも、作る側の人が、書店で便意をもよおすというのは、どういうものか。本当は本が嫌いなのではと推測していた。


番組では、書店で便意をもよおすメカニズムについては確定的なことは語られず、推測の域を出ないコメントではあったが、追い詰められた動物がウンコをもらすのと同じで、人間も恐怖を感じたり、興奮状態になったりすると、それが便意となって感じられるのだという説明であった。本好きな人は、書店に入ると、いろいろな本があって興奮し、それが便意につながるのであって、本好きの人が便意をもよおすのではないかということだった。


となると書店で便意を催す編集者は、本好きな人で、なにも感じない私は、本好きではない? それって私だけ。