Dark Matter1


本日から、日本英文学会の改革についてもコメントを連載する。
ただし、私の意見は、私が所属している団体や機関の意見を代表するものではなく、あくまでも私個人のものである。


Dark Matterとは宇宙の暗黒物質のことである。私の子供の頃には存在しなかったものだが、近年、話題になった。テレビでもとりあげられるようになった。現在の宇宙論は、宇宙を紐だとか膜だとか考えていて、もう私には完全にお手上げなのだが、暗黒物質の議論はわかる。


もちろんこれは「暗い議題」ではないかと思うかもしれないが、それも若干意識している。この連載が終わる頃には、この暗黒物質と暗い話題が結びつくことがわかっていただけることと思う。


現在、日本英文学会は支部体制に移行しようとしている。このことはすでに決定事項なので、いずれ支部体制に移行することはまちがいなのだろうし、いまさらこんなことを言ってもしかたがないのだが、いちおう見解を述べれば、なにもわざわざ支部体制にしなくてもいいのではないかと思う。


もともと日本英文学会は支部体制をとっていない。会員全員が、日本英文学会に所属というか直属である。しかし、それだけなら、逆に、支部体制に移行するのは簡単で、問題も生じない。


たとえば日本をいくつかの支部に分け、会員をその支部にわりふる。日本在住の会員なら、自動的にどこかの支部に必ず所属することになる。これで終わり。もちろん考えるべき問題はいろいろとあって、せっかく支部に分かれたのだから、支部活動とその経費はどうするのかとか。支部長をどうやって選ぶのかとか。法人とか団体が賛助会員になる場合があるが、それはどこに所属するのか。その団体なりある地区の支部に所属するのか、本部に所属するのかとか。


ただ、こういった問題は、そんなに解決がむつかしい問題ではない。支部体制への移行は、むつかしくない。だが、それがとんでもなくむつかしいことになった。


理由は、すでに支部がいくつか存在したからである。


すでにある支部がネックとなって、スムーズな支部体制への以降が阻まれる、だからすでにある支部は困りものだという議論を展開するつもりはまったくない。長い伝統をもつ支部は、これまで有意義な活動を行なっており、逆に、英文学会が支部体制に移行するのは、迷惑な話かもしれないのだ。これまでの支部の活動を尊重しながら、同時に、新たな支部体制へと移行すること。だがこれはとんでもなく矛盾した不可能な試み、いや、もっとはっきりえば、あまりに無謀で、あまりに配慮に欠けた、愚劣な試みとしかいえないのでは。従来の支部にとっては、とんでもなく迷惑な事態かもしれない。にもかかわらず、英文学会は従来の支部をモデルにして、新しい支部を立ち上げた。こんな馬鹿なことがゆるされるのか。
To be continued.