不機嫌


……まあ、そうです。忙しいのですが、授業がないので、時間の調整はつく。


昨日なんかも、事務から成績について問い合わせがあって、ある学生の成績が、優と未受験、両方になっているとのこと。こちらのミスであることはまちがいないので、その学生の試験の答案を調べ、レポートを調べて、「優」であるとメールで返事をしたのだけれど、迅速な対応を感謝されつつ、同時に、成績原簿にハンコを押して直せということで、やはりメールだけではすまず、大学に行かなければならなくなった。


まあ、昨日は、それ以外にも来年度に修士論文を提出する学生と面談があり、さらに修了して、いまは大学の先生になっている女性が訪問してきたしと、なんだかあわただしいだけで一日が終わってしまった。


まあ、そんなのとき帰りの電車を途中下車、近くのシネコンに行くのですが、昨日は、その映画館で、年寄りの態度が悪くてうんざりした。私の後ろの列の年寄りが、映画が始まってから(たぶん映画が始まる前からだろうけれど、気づかなかったのだが)、なんか小刻みに足踏みしている。まあ貧乏ゆすりのようなものだけれど、それが老人であることは、わかっていたので、体の自由がきなかいかもしれないの、文句をいうわけにもいかない。


べつに席を蹴っているとか、そういうことではないので、すぐに忘れてしまったが、それとはべつのところから、私の座っているところから、離れているのだが、そこにすわっている老人の女性二人と老人の男性一人の三人組みが、しゃべっている。まあ、笑うくらいは、いいのだが、あれがどうのこうのとしゃべっている。もう茶の間でテレビを見ている状態。ほんとうにたちがわるい。


たぶんその周囲の人間は、相当迷惑していると思うのだが、誰も注意しない。まあ映画上映中で、そこで注意をして話しがもめはじめたら、上映中止となるかもしれないしという気持ちがよぎるから、誰もが黙っているのだろう。しかしそのうるさい老人三人組は、映画館のなかで、確実に、周囲に苛立ちを伝播させていって、私の周りでも「うるせーな、あのじじい」と吐き捨てるようにいう男性も出始めている。


と、そこで、後ろの老人の貧乏ゆすりが気になりだした。最悪の時間が経過し始めた。


映画が終わると、マナーの悪いくそ老人グループは、すぐに席を立って帰った。


館内が暗いうちは、階段などよくみえなくて、ころんだりするから、館内が明るくなってから席をたったほうがいいので、その老人三人組、暗闇のなかで転んで死ねばいいのにと願ったが、願いはききとどけられなかった。


それから帰りに、乗り換えホームで、電車が来るのを待っていると、私の前に駅員が二人やってくる。みるとひとりの駅員は、ポリ袋に新聞紙とガムテープみたいなものを持っている。ふたりは電車が入ってくる方向をみながら、なにか話している。


え、なに? そのうちに電車が入っているくると、ホームに放送で、車内清掃のため、少しの間、出発が遅れるという。え、このふたりが車内清掃するのか。私が乗ろうとしている車両で。


電車が入ってきた。満員ではないが、少し込み合っている。立っている乗客も多い。と、私が乗ろうとしていた車両、先頭方向の半分はふつうに込み合っているが、後方の半分、乗客がいない。席に誰も座っていない。やばい。


私はべつの車両のほうに移動した。はっきりと見なかったが(見たくもないのだが)、反吐かなにかでシートと床が汚れて、それを駅員が停車中に清掃したようだ。


私はその車両からできるだけ離れた車両に乗って、次の駅で降りた。最寄り駅なので。そしてその車両のほうちらっとみたら、座席にビニールシートのようなものがガムテープで止めてあって、養生がされている。いや、それにしても、危ない、危ない。


映画館に行けば、マナーの悪い客と出会うし、電車に乗れば反吐電車だし(今日は、かろうじて同じ車両であることはまぬがれたが)、つくづく運のない男だと思う。


え、どんな映画だったかって? まあ思い出すだけで、マナーの悪い老人のことを思って機嫌が悪くなるので、聞かないで欲しい。不機嫌だと、映画の評価が偏るかもしれないので。


あ、それからたしにかにアールグレイ、ミルクをいえると香り消えるみたい。