闇金謝礼

本日のニュース
朝日新聞より
医学部長、院生から博士号の謝礼授受 横浜市立大 2008年03月12日15時16分
(一部省略)

横浜市立大学医学部(横浜市金沢区)の嶋田紘医学部長(64)が、医学博士の学位を取得した大学院生らの医局員から謝礼として現金を受け取っていた疑いがあることが12日、関係者の話でわかった。謝礼は1人あたり30万円が基本で、03〜07年だけで、少なくとも十数人から計約400万円が支払われたという。市大側は12日、記者会見を開いて内部調査を進めているとし、「うわさ話として聞いていたが、金銭授受はあってはならないこと」と話した。


医学部長が教授を務める同大大学院医学研究科の消化器病態外科学(旧第二外科)では、大学院生ら医局員が博士号を取った直後に教授室を訪れ、医学部長に対し、菓子折りに添えて謝礼の金を手渡しするのが慣例だったとされる。金額は原則30万円で、10万〜15万円などの場合もあったという。


複数の関係者によると、委員会の調査に複数の大学院生らが、医学部長に博士号の謝礼として10万〜30万円を支払ったことを認めた。大学院生らは「謝礼を支払うのが慣習だと聞いた」などと説明しているという。


一方、医学部長も内部調査に対し、謝礼を受け取ったことは認め、「医局のために使った」などと話しているという。


市大は会見で「『お世話になった先生に学位を取れたら今までの謝礼をする。受けた方は個人的に使うのではなく、研究費の足しにする』といううわさ話は聞いていたが、どんなことがあっても金銭の授受があってはならないと考えている」と説明。

以前、このブログにも書いた記憶があるが(いつだったか思い出せない)、以前、学生から、「先生は博士論文の学位審査をしたことがあるか」と聞かれ、「自分の研究室の院生の博士論文、他の研究室の博士論文、他の大学の博士論文を審査したことがある」と答えたら、「そのときいくらもらったのか」と聞かれたので、「一銭ももらっていない」と答えたら、怪訝な顔をされた。


その学生(女子学生だったが)がいうには、自分の父親(現在、病院勤務の医師)が大学に博士論文を提出したときには、10万円ほど払ったとのこと。もちろん審査にパスして、学位が決定してからのことだがと但し書きついた。


それは今回問題になった横浜市大の医学部のことではない。誰に払ったのかは、たぶん指導教官だと思うのだが、後払いだから、事前の賄賂ではないにしても、では学位をもらった側がお礼の金を払わなかったら、おそらくひどい目にあうか、白い目で見られるだろうから、賄賂と同じである。


私は医学部の付属病院に入院したことはないが、手術などをしてもらう場合には、多額のお礼を払うのが慣例になっていることは、いろいろな本に書いてある。10万円程度から、100万を超える場合も含め、いろいろなケースがあるらしい。大学の付属病院では、闇のお金が動いている。


今回のケースは、横浜市立大学のことだけではないだろう。日本中の医学部で同じことがおこなわれている可能性は高い。それこそ警察が徹底的にメスを入れて、この不正を暴いて欲しいのである。


付属病院での患者からの謝礼金。博士号取得者からの謝礼金。これだと医学部(それも国立法人、公立法人の医学部)だけの問題のような気がするが、しかし、ことは公立、私立を問わず、また博士号を多く出している理系の学部全体にゆきわかっているのではないかと私は考えている。


理系の学問は、その評価基準を厳密につくりシステム化した。そこに恣意的判断が入り込まないように、評価は正当なものであることを保証するシステムをつくりあげた。それはいい。またそのようなシステムを文系の学問にもあてはめようとするのは、傲慢な姿勢かもしれないが、システムの完全さへの誇りのせいかもしれない。そこまではよい。しかし、その厳格、客観的な評価システムの背後に、菓子折りの下に金を包むという、腐った慣行がまかりとおっているというのは、理系の評価システムが泣くぞ。医学部だけの問題ではない。理系の学部にうごめく黒い闇のお金を徹底して暴くべきである。やつらやはほんとうに金に汚い。


私は博士論文を審査しても、ほんとうに一銭ももらっていない。これは、私に審査された論文の執筆者の名誉のためにも、私の名誉のためにも、文学部の名誉のためにも、ここに記しておく。