三国志


前に映画館で予告編をみていたら、ジョン・ウー監督のRed Cliffという中国を舞台にしたスペクタクル映画の簡単な予告編があった。いまでこそ、ネット上から情報を得ることができるのだが、その頃は何も知らなかったので、「レッドクリフ」→「赤い断崖」。なんだか聞いたことがあるような、とぼんやりみていたら、不意に思い出した。「レッドクリフ」、それって「赤壁*1。え、三国志か?


事実、三国志の映画化だったし、いわゆる「赤壁の戦い」を中心にして、続編もつくられるらしい。周瑜が最初、チョン・ユン・ファだったのが、トニー・レオンに変わったり、曹操渡辺謙だったのが、誰かにかわったらしいのだが、諸葛亮孔明金城武というのはよいのかもしれない。とはいえ中国語が達者な金城武はべつだが、日本人がアジアの他の国の英雄を演じないほうがいいと思うので(浅野忠信に、モンゴルの人々は怒っているでしょう)、まあ渡辺謙曹操でなくてよかったのでは。


中国の四川省を襲った大地震。四川といえば、多くの日本人には四川料理しか思い浮かばないかもしれないが、『三国志』の読者にとっては、べつに私のように熱心なファンでなくとも、四川といえば、魏、呉、蜀の三国のうち蜀があったところ(益州とでもいうのか)。吉川英治版『三国志』では主役といっていい劉備玄徳が君臨し、その死後、もうひとりの主役、スーパー軍師諸葛亮孔明が魏と戦う本拠地となるのが蜀の国(いわゆる太平洋戦争中に書かれた吉川版『三国志』にとって、おそらく「蜀」は日本のメタファーである)。今回の大地震の被災地のひとつとして「成都」のことが報じられたが、この成都といえば、蜀の首都。いやあ、なつかしいなという思いで、ニュースを見ていた。もちろん多くの被災者の救出を祈りながら。

*1:赤壁「せきへき」と読む。以前、テレビでタレントが「あかかべのたたかい」と言っていて、なぜ、中国の地名が「訓読み」なのか不思議に思ったりした記憶がある。「せきへき」というのは、「あかかべ」と書くというようなことは、ふつうに話すことなので、そのまま「せきへき」というべきところを「あかかべ」になったのか。あるいは芸能人の情報源は横山光輝のコミック版だろうから、コミック版では、もしかしたら「あかかべ」になっているのかもしれないが、そんなことはないか。