さっぱりわややがな


学生と読んでいる英文学の作品で、鳩が地上の歩行者に向けて、うんち攻撃をしかけるという場面があって、そこで、以前、目の前に歩いている人が、鳩のうんち攻撃にあったところを目撃した経験について、ひとくさり。脱線。


大阪梅田の高架下の横断歩道で、信号が変わるのを待っていたとき、私の前に立っていた老紳士の上着に、鳩の白いふんが落ちてきた。いや、危ないと、私自身、思わずたじろいで、上を見上げたが、鳩は飛び去ったところだった。


その老紳士は、黒か、紺の背広を着ていて、その黒っぽい生地のうえに、あざやかな白い鳩のうんちが。老紳士は、すかさず上着を脱いで、鳩のうんちをたしかめて、一言。それを聞いていた私は、思わず、大阪のおっちゃんやなと合点した次第。関東の人なら、そういうとき、くそ、とか、ばかやろうとか、くそ鳩めがと悪態がでるところ、そのおじいさん、なんと言ったと思いますか、「あ〜、あ〜、さっぱりわややがな!」と。その、ものやわらかな言い方に、感心しつつ、失礼ながら、思わず、噴出しそうになった……。


学生が、え、という顔をしている。聞き逃したのか、私の言い方が悪かったのかと、「さっぱりわややがな」って言ったと、もう一度、繰り返すと、その「さっぱりわややがな」というのはどういう意味なのかと聞かれた。う〜ん、「わや」というのは関西の言葉で「だめになる、だいなし」というような意味ですと、あやふやな説明をしたが、そうか、関東の人はわからないのか。あるいは関西の人間ではない私が、どうしてわかるのか、逆に、不思議になってきた。


ちなみに、この話、オチがはっきりしないので、まあ30点か。