英文学会新体制案4

支部にはいらない人、そして複数の支部形成へ


まず地区会には全員が割り振られるので、これを拒んだ場合は、英文学会会員であることを辞めるということである。また地区会の会費はゼロなので、事務的な振り分けを拒む会員はまずいないだろうと思われる。


支部」に入りたくない人というのは、各地区に置かれている「支部」活動に興味を示さない人のことである。どういう人たちか。


たとえば私がアメリカ文学会の会員であるとする。アメリカ文学会は支部体制をとり、熱心に支部活動が行われている。私は、アメリカ文学会での支部活動に参加しているとする。その場合、それにくわえて、英文学会の「支部」におけるアメリカ文学関連の支部活動にまで、あえて加わりたいと思わないかもしれない。というのも、アメリカ文学会の支部活動では、参加するのは同じアメリカ文学専門のメンバーだけだが、英文学会の「支部」活動に参加するときには、アメリカ文学以外の専門のメンバーもそこに参加し、やや濃度が薄くなる感じがする(ただし実際には、そうならなくとも、仲間以外の人間が増えると、同じ専門のメンバーの関係が弱くなる、薄まると感じてしまうのである)。こうなると、あえて3000円払って、濃度の薄い「支部活動」に参加する必要はないということになってしまう。


これは、好き嫌いの問題ではなく、構造的な問題である。


そのため、英文学会の「支部」を選択的参加にした場合、おそらく、すでに支部をもっているアメリカ文学の会員は、英文学会の「支部」から脱会するのではないかと思う。これはやむをえない。残るのは、支部をもたない、イギリス文学関係者と英語学関係者であろう。しかし、文学と言語学は、協同で活動できるほど接近した分野ではない。そのため英語学の専門家も「支部」から離れてゆくだろう。将来的にはイギリス文学関係者だけが「支部」活動をすることが考えられる。


しかしこれで終わりではない。英語学の専門家も、英語学関係者だけで、各地区に支部をつくっていいのである。関東地区に、英語学関係の「支部」があり、関西地区には英語学関係の「支部」がなくてもいい。「支部」を英文学会の基幹組織とするのではなく、任意団体として自由化することによって、複数の支部ができるし、それは全国に均一にできなくてもいいのである。


また全国に「イギリス文学」だけの「支部」が出来れば、そうした「支部」が集まって、日本イギリス文学学会をつくってもいいのである。なんとすばらしいことだろう。まず地区というか地方組織があり、それが合同して全国組織を形成する。地方組織あっての全国組織。トップダウン式に、むりやり支部をつくらなくていいし、支部会員が少ないなどと嘆く必要もない。非支部会員はいないからである。


つづく