坂東眞理子の品格


午後8時からのテレビ朝日の番組〈Qさま〉(本日は、プレッシャーSTUDY)を食事をしながらぼんやりみていたら、インテリ芸人SPと銘打たれた回に、坂東眞理子がゲストに出ていた。こういうバラエティ番組に出るのも珍しいが、難しい問題を積極的に答えて、頭の良さを見せつけていたが、この人の品格を疑うような行為がひとつあった。


英語の単語が10個で、どれも訳すと「ふ」で始まる単語を集めたとある。解答者は自分で問題を選び、解答を文字で書く。このとき「国際弁護士」八代英輝が、「phoenix」という単語を選んで、急いで解答したところ「不死身」と書いてバツ。あわてた八代は、頭が真っ白になったみたいで、答えが出てこない。そのとき、坂東のバカは、両手をゆっくり羽ばたかせ、鳥のまねをしたのである。司会者がヒントを出すのやめてくださいと、再三注意をするのに、最後までやめない。八代は、たぶん、そのヒントに気づかず、自力で冷静さを取り戻して「不死鳥」と正解を出したのだが、こういうクイズ番組でヒントになるしぐさをするのは明らかに不正行為である。こいつの本性を見たような気がした。


まあ、なれないクイズ番組で興奮して思わずヒントを出してしまったというなら、それはしかたがない。あるいはバラエティ番組でも、クイズ番組は真剣勝負だから、誰も笑いを求めていないのだが、笑いをとらなければいけないというKY的発想で、おちゃらけたのかもしれない。あるいは八代の間違え方が、ありえないほどわざとらしい間違え方だったので、まさかと思うが、事前に、ここでこう間違えるから、こうヒントを出すというような打ち合わせがあったかもしれない(この場合、クイズの問題が事前にばれているということになるが)。だったら、許せるのだが、しかし、司会者はヒントを出すのはやめてくださいと再三注意をしているのである。その司会者まで、やらせとは思えない。実際、その回の問題が終わったとき、隣に座っていた青木さやかが「すみません、この人〔坂東のこと〕、ヒントを出したくてしかたがないみたいですが」と司会者に皮肉を言っていた。司会者は、「ヒントはいけません」というと、坂東は、にこにこして、両腕をゆっくりと羽ばたかせているだけ。みていて不愉快になった。


このクイズ番組は、素人解答者ではなく、芸人、タレント、アナウンサーなどが解答者になるので、バラエティー色の強い番組だが、しかし、だからといって、笑いをとるのだったらなんでもいいということはなく、フェアプレイは破ってはいけない原則である。実際、毎回みているわけではないが、たまたま私が見た回で、ヒントを出すというような不正行為をする解答者などいなかった。あたりまえだが。


結局、この元高級官僚のバカ、規則とか原則など、ふみにじってもいいのだと思っているのだろう。高級官僚にふさわしく、裏取引と根回しと不正と口ききだけで生きている人間にとってフェアプレイなどどうでもいいのである。またそもそもバラエティ番組などというものをはなからバカにしているのだろう。なにをしてもいいと思っている。まあ品格について本を書くような人間に、品格などないと思っていたが、今回は、そのことをあらためて確認させてくれる結果になった。



ちなみに、「ビートたけしのTVタックル」を引き続いてみていたら、福田首相オリンピック選手団に言った「せいぜい頑張って」という言葉が、字幕入りで紹介され、自民党の議員たちから「福田さんは誠意のない人だから」と、その発言への批判がなされていた。しかし、このブログの8月20日に書いたように、「せいぜい頑張って」は「力の限り頑張って」という意味の正しい用法なのである。あいにく、いまでは、あまり使われず、否定的意味に汚染されているのは実情だとしても、まるで福田首相の失言であるかのようにとらえるのは間違っている。品格のない番組だ。そこでみるのをやめた。まあ、食器の後片付けもあったし。