Younger @ Heart

姉、妹?


映画『ブーリン家の姉妹』のつづき。21日の夕刊をみると、いつものように映画の宣伝が掲載されていて、『ブーリン家の姉妹』も終了するシネコンも多いが、都内でロングランが決定したようで、たしかに、私が見たときも、週日の午後の早い時間帯にもかかわらず人は入っていた。まあめでたいことである。


アン・ブーリンとメアリ・ブーリン姉妹、原作(翻訳あり)と映画では、アンが姉となっているが、いろいろな資料をみると、たいていメアリが姉となっている。映画パンフレットのなかの石井美樹子氏の解説によれば、メアリが姉というのが一応の定説らしい。私もこれまで文学史の授業などでは、アンが妹であると語ってきたし、授業の配布プリントにもそう明記している。


しかし映画を見た学生(前回Jacobean@Heartに登場してもらった学生)によると、映画のなかで描かれた性格とか行動から判断すると、アンは、あきらかに「妹」的である(「私の妹のほうが機転もきき、ずるいことが多い」と彼女は語った)。これには私もなるほとど思った。姉とか兄は、基本的におっとりしていて、お人好しで、人を疑うことを知らず、妹や弟にしてやられるというのが日本での伝統的パタンだが、たぶん西洋でも同じかもしれない(あるいは西洋的近代家族が日本の家族にも影響を与えたとすれば、姉・兄と、妹・弟の性格パタンの起源は西洋かもしれないが)。


映画のなかでは、おっとりしていて、お人好しで、妹にしてやられるが、最後には妹の子供を育てる包容力のあるメアリ/スカーレット・ヨハンセンがお姉さん的性格であり、いっぽうアン・ブーリン/ナタリー・ポートマンの性格や行動は、どうみても妹的である。むしろ定説どおりにアンを妹にしたほうが、話はすっきりするのではないかと思うが、いずれにせよ、映画のなかの、言動(ステレオタイプ的なものだが)からすると、メアリ/スカーレット・ヨハンセンが姉、アン/ナタリー・ポートマンが妹である。


映画の宣伝にはメアリ派かアン派かというアンケート結果があって(しかし、この映画をみて、そんなこと考えるか?)、アン派の女性のコメント:「なんでも負けず嫌い 美貌もなんでももっている私 でもそれが幸せでないこともわかっています だからアンの気持ちもわかる 私は長女です」。アン派のあなた、親に確かめたほうがいい、アンの気持ちがよくわかる長女のあなた、あなたはほんとうは妹です。