永遠と一日通信1

皆様

X君へ、実は『リア王』の回のとき、図書館/書庫から借りた本をもっていたので、もし『リア王』の原書を持っていなかったとすると、シェイクスピア関連分野を専門とする院生で、シェイクスピアの原書を持っていないというのは私の経験では初めてなので、もし2週連続して自分の本を忘れて、やむなく図書館の本を借りたというのでなければ、つまり持っていなかったら、イエロー・カードを通り越して、レッド・カードだと思っていたのですが、やはり忘れたのではなくて、持っていなかった……、でも、東京では通販でしか買えない貴重なお菓子を持ってきてくれたので、本を2週連続して忘れたことにしちゃいます。お菓子には甘い。いや、映画『ブランドネス』で眠った? X君、イェローカード1枚。


ケネス・ブラナーの日本版As You Like Itは、べたべたのオリエンタリズム丸出しとしても、また日本人馬鹿にしているのか、もしくは日本の市場に媚びているのか、そのへんを差し引いても、この芝居は、アーデンの森でのやりとりが、どんな演出でも、なかだるみをするので、言葉が多すぎてつまらないと判断されたのかもしれません。昔々BBCがテレビ版シェイクスピア全集を作ったとき、AYLは、最初にNHKで放映された作品でしたが(ロザリンドは、まだ若かったヘレン・ミレンが演じた)、やはり台詞が多すぎるという一般視聴者からの評価が多かったことを覚えています。ブラナー版が、日本に来なかったことも当然かもしれません。ブラナーの映画としても癒し系というより、脱力系の感じがしたことも事実ですが。


以下映画情報です。

As You Like It
(2006) 127min USA/UK
監督 ケネス・ブラナーKenneth Branagh 1960.12.10-
俳優としても『ハリーポッター』物に出るなど活躍していますが、映画監督としてのこれまでの作品で代表作をあげておくと(タイトルが日本語で推測できるものは邦題を省略)、
Henry V(1989);
Dead Again『愛と死のはざまで』 (1991);
Much Ado About Nothing (1993);
Frankenstein (1994);
In the Bleak Midnight『世にも憂鬱なハムレットたち』(1995);
Hamlet(1995);
Love’s Labour’s Lost(2000);
Magic Flute(2006);
Sleuth(2007)(『スルース』は今年見ました。『魔笛』は見そびれましたが)


Rosalindロザリンド Bryce Dallas Howard 1981.3.2-
ナイトシャマラン監督によって『ヴィレッジ』で盲目(!)の少女を演じた彼女は、その後、同監督の『レディー・イン・ザ・ウォーター』の人魚役で大損害を出し、同監督の『ハプリング』には出ていません。でも主役だった『マンダレー』といったドグマ映画は、よかったのですが。ちなみに彼女は『ターミネイター』シリーズの第4作に出演が決まっていますが、どんな役かは知りません。ちなみに、ちなみに、彼女は映画監督ロン・ハワードの娘です。ロン・ハワード監督の最新作はFrost/ Nixon(2008)――これは絶対に面白い映画だと思います。フロストは有名なニュースキャスター。ニクソン米大統領ニクソンで、実話に基づく物語(昔、イギリスにいた頃、Frost on Sundayという番組の紹介がテレビであったのですが、最初、私は、イギリスは寒い国だから、日曜日に霜が降りるのかと、天気予報とまちがえていました。ネタじゃないよ。実話)。


The Village (2004);
Manderlay(2005);
Lady in the Water (2006);
Spider-Man 3(2007)


Celiaシーリア Romala Garai 1982. 7.1-
いまや売れっ子の彼女。イギリス人ですがハンガリー系らしくGaraiは日本ではガライと表記していますが、Garryと発音するのだという資料もあります。


The Other Man(日本未公開2008);
Atonement『つぐない』(2007);
Angel『エンジェル』(2007オゾン監督で主役。);
Amazing Grace(日本未公開2006);
Scoopタロットカード殺人事件』(2006。ウッディ・アレン監督の映画でヒュー・ジャックマンとスカーレット・ヨハンセン主演。ヨハンセンがこの映画では、胸が大きいだけの、お気楽お馬鹿女役で彼女の本領発揮。そのヨハンセンのルームメイトか従姉妹役で、ロモラ・ガライが出ている);
Inside I’m Dancing『ダンシグ・ハバナ』(2004。キューバでダンス・コンテストに出る話。踊っています。);
Vanity Fair『悪女』(2004。サッカレーの小説の映画化。日本未公開。DVD化されています。残念ながら未見。)。
なお彼女はテレビ版の『リア王』(2008)でコーディリアを演じています(リア王は、イアン・マッカラン


Touchstone タッチストーン Alfred Molina 1953. 5. 24-
有名なベテラン俳優なので、たくさんの映画に出ています。日本で公開され評判になった映画だけあげて起きます。


Silk『シルク』 (2007。キーラ・ナイトリー役所広司中谷美紀が出ていて、幕末から戊辰戦争の頃に日本が舞台にもなっているが、やはりヘンな日本物です。へんなムードがあって、そこがよいという人もいるかもしれません);
The Da Vinci Code ダヴィンチ・コード』(2006。人から指摘されて、思い出しました);
Spider-Man 2 (2004。悪いモンスター科学者の役で登場);
My Life Without Me死ぬまでにしたい10のこと』 (2003。サラ・ポーリー主演の映画。病気で宣告された女性が死ぬまでにしたいことをする物語。マーク・ラファロ(『ブラインドネス』の医者役。X君、寝るな)が重要な役で出ています。モリーナがどこで出ていたか覚えていない);
Frida 『フリーダ』(2002。ジュリー・テイモア監督のフリーダ・カーロの伝記映画。力の入った演出。モリーナはフリーダの夫役で熱演)など。


Orlando オーランドー David Oylelowo 1976.4.1-
 イギリス人。ナイジェリア系とのこと。テレビ映画やドラマ出演が多い。以下の映画に出ているとのことだが、覚えていない。


The Last King of Scotland『ラスト・キング・オブ・スコットランド』(2006);
Derailed『すべてはその朝始まった』(2005。『彼が二度愛したS』 よりも、同じような設定で、こちらのほうが出来がよいと思った映画。日本未公開ですがDVD化されていて、主演クライヴ・オーウェンオーウェン・ファンなら『エリザベス ゴールデン・エイジ』よりも最新作の『シューテムアップ』をお勧めします。濃いオーウェンが堪能できます。);
A Sound of Thunder (2005。レイ・ブラッドベリのSF短編の映画化だが、いまどき驚くような貧弱なSFXで、やはり驚きます)


Jacques ジェイクィーズ Kevine Kline 1947. 10.24-
ケヴィン・クラインは有名な俳優で、出演映画も多数なので、ここでは列挙しない。シェイクスピア映画ではA Midsummer Night’s Dream(1999)に出演。憂いをふくんだ、奥行きのあるボトムを演じた――もっとも、暗いボトムは、はっきりいって間違いだと思うが。あと、こけたWild Wild West『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(1999)ではウィル・スミスと組んで、悪役の科学者(ケネス・ブラナー扮する)と対決。とはいえ昔のテレビ・シリーズのファンとしては、このリメイクは最低の映画でしたが。


Audrey オードリー Janet McTeague 1961.5.8-
 彼女は、けっこういろいろな映画に脇役で出演しています。日本で公開された映画のみ列挙。


Tidelandローズ・イン・タイドランド』(2007。このダークファンタジーに出ているのですよね。主役の女の子の隣の魔女的女性として);
The King is Alive 『キング・イズ・アライヴ』(2000。このドグマ映画。砂漠で道に迷ったバスの乗客たちが、救助を待っている間、『リア王』を演ずる物語);
Carrington『キャリントン』(1995。ちょっと古い映画ですが、実在の女性で、ゲイのリットン・ストレイチーの恋人(?)でもあった女性画家の伝記映画。エマ・トンプソン(ブラナーの元妻)がキャリントンを熱演)


Duke Senior/ Duke Fredrick 二役 Brian Blessed 1947. 10.24-
ブライアン・ブレシッドも有名な俳優で、多数の映画に出演。ケネス・ブラナーとは親友で、ブラナーのシェイクスピア映画『ヘンリー五世』『空騒ぎ』『ハムレット』に出演。この『お気に召すまま』で、久しぶりにブラナー映画への出演となった。

本日はこれまで。