日の名残り

深夜、テレビで映画『ジョニー・イングリッシュ』(ローワン・アトキンソン主演)を放送していたので、すこし見てしまった。この傑作喜劇は、何度も見ても笑える。しかし垣間見た限りでの気づいたことは、この映画にティム・ピゴット=スミスが出ていること。昔見たときには気づかなかった。ティム・ピゴット=スミスは最近見た『007 償いの報酬』にも出ていたが。


で、昔見ていたとき、たまたま遊びに来ていた妹と、この映画をDVDで見た。映画のなかでローアン・アトキンソン/ジョニー・イングリッシュが、墓地での葬儀を、犯罪者の集会の偽装であると勘違いして、単身、葬儀の場に侵入し、全員逮捕すると拳銃を向けるところがある。唖然とする参列者たちに、悪態をつくローアン・アトキンソンだったが、本物の葬儀で、自分は勘違いしていたのではないかと気づくが、ひっこみがつかなくなる。


するとあとから到着した部下が機転をきかし、「私は医者で、この人【アトキンソンのこと】は精神病患者で、病院を抜け出したのです。皆さんに迷惑をかけていなければいいのですが」と、その場をとりつくろうと。アトキンソンも、部下の話にあわせて、精神異常者の真似をし、医者だと宣言した部下に、おとなしく連れて行かれることなる。


これを見ていた妹は、こういう優秀な部下をもつと、上司も、自分の失態をつくろってもらえるので助かる。まあ部下に支えてもらわないと、なにもできない上司、そして上司のミスをとりつくろう有能で優秀な部下というのは、なにか、いかにもイギリス的ではないかと感想をもらした。


イギリス人が、あほな上司と優秀な部下に二分されるとは思わないが、しかし、なんとなく、それは言いえて妙な気がした。イギリス文化のひとつの指標として、それは「執事の文化」かもしれない。有能な執事が支える無能な貴族。これがイギリス文化の一側面だとしたら、なにか面白いことがいえるかもしれない。