合格発表


現在、入試試験採点中。誰が試験問題を作っているかは、極秘なので明かせないが、誰が採点しているかは、この時期、大学教員で英語関係の教員ならば試験の採点をしているのはふつうなので、これは秘密にする必要はない。採点中であることを報告してもさしさわりはない。そして本日、ふと思い出した。


いまから10年前よりは、もう少し新しいのかもしれないが、試験の採点中に、採点場所を抜け出して合格発表を見に行ったことがある。試験採点期間中のその日に、同じキャンパスで大学院の合格発表があった。


大学院の博士課程を受験した学生を知っていたからだ。もちろん彼女が受験した大学院の専攻の教員に聞けばと思うかもしれないが、専攻が違うし、そもそも学部も違うから、合格発表前に部外者に教えてくれるはずなない。頼んだら教えてくれたかもしれないが、それでは不正を強要することにもなるので、それはよくない。いずれにせよ、合格発表を見に行けばわかることである。受験番号での発表なのか、名前での発表なのか、よく覚えていないのだが、まあ最終発表なので名前だったかもしれない。彼女が合格していたのでほっとした。


外部からの博士課程受験は、なかなかむつかしい。簡単に合格できるものではない。それが合格したのだから、彼女の高い実力が証明されたようだし、また彼女の実力を評価した大学側の慧眼にも感銘を受けた。


合格発表を見に来ていた彼女にもばったり出会った。彼女と合格を喜んだ。彼女はパートナーといっしょに来ていたようだが、その時は、そのパートナーを紹介されなかった。もちろん私に紹介する義理も義務もないのだが。


その時が彼女の人生の絶頂期ではなかったかもしれないが、ただ、いくつかあっておかしくないピークのひとつであったにちがいない。


彼女は2004年に乳がんで若くして亡くなった。その死を悼み、その死を無駄にしないために私は心に誓ったことがある。だがいまだにその誓いを実行していない。ふがいない自分に嫌気が差している。