齧られた林檎
Adam, One Afternoon この言葉を読んでいたら、ふと気になった。アダムではなくて、リンゴのことが。
アップル社（旧社名：Apple Computer inc. / 現社名：Apple inc.）の「アップル」の由来について、どうなっているのか、ネットで調べてみる。アップル社の創業者のひとりスティーヴ・ジョブズがビートルズを尊敬していて、自分たちの会社の名前も「アップル」と名づけることにした。というのが有力な説のようだ。
しかし他にも説があって、ジョブズがリンゴ好きだったとか、一時期果樹園で働いていたことがあるとか、近くにあったリンゴから適当に社名をつけたとか。
またさらにスティーヴ･ジョブズがそれまで勤めていた会社「ATARI社」よりも電話帳で前にくる名前にしたかったためという説もある。ジョブズは新しい事業を始めるためアタリ社に資金の提供を求めたが反対されたので、自ら新会社「アップル」を設立したとのこと。
まとめると1)ビートルズのアップル社から、2)リンゴ好きもしくはリンゴに因縁を感じたから、3)電話帳で最初の方（少なくともアタリ社よりも前）に掲載するため。4)その他 ということになる。
しかし気になるのは、どうしてリンゴが齧られたロゴマークなのかでる。日本版Wikipediaには以下のような記述がある。
Apple が創業されたときのロゴマークは、ニュートンがリンゴの木に寄りかかって本を読んでいるところをモチーフにした絵（ロン・ウェインのデザイン）であった。しかしこれでは堅苦しいと考えたスティーブ・ジョブズは、レジス・マッケンナ社のアートディレクターロブ・ヤノフに新しいロゴマークのデザインを依頼する。ヤノフは、シンプルな林檎の図案の右側に一かじりを加えた。「一かじり」を意味する “a bite” とコンピュータの情報単位の “byte” をかけたのだという。
しかし、これは、ほんとうのことなのか。たしかに初期のロゴマークはニュートンとリンゴの木なのだが、その後、現在の齧られたリンゴになる。しかし、リンゴが齧られたことになっているが、もともとリンゴの絵の右横にはapple computerのロゴがかぶさっていて、aの文字の左側の湾曲部が、ちょうど齧じられたリンゴの曲線と一致する。
そうなるとロゴマークから文字が消えたので、齧られたリンゴの図柄が成立したとも取れる。最初から齧られたリンゴの図柄ではなかったかもしれない。Byteとbiteも後知恵ではないか。たんなるこじつけではないか。
ただし真偽はどうであれ、このロゴマークは、ある一人の同性愛者を指示しているともとれる。実は、それがロゴマークの由来だと私は長く信じてきたし、これからも信じてゆくつもりだが。
現在のコンピュータは、イギリスの天才数学者で、第二次世界大戦中はドイツ軍の暗号エニグマを解読したことでも名高い、アラン・チューリングが考案した理論的機械チューリング・マシンに由来する。
そのチューリングAlan Turing(1912-54)は、同性愛者であり、1952年同性愛の罪で逮捕され、54年に自宅で死んでいるのが発見される。検視の結果、死因は青酸中毒。日本版Wikipediaを引用すると
1954年6月8日、チューリングは自宅で死んでいるのを発見された。検死の結果、青酸中毒による死であることが判明した。ベッドの脇には齧りかけのリンゴが落ちていた。リンゴに青酸化合物が塗ってあったのかの分析はなされなかったが、チューリングの部屋には青酸の瓶が多数あった。彼の死は自殺であるという説がある。 しかし、チューリングの母は、実験用化学物質を不注意に扱ったために起こった事故であると主張している。 その他、事故に見せかけた暗殺ではないかと言う説もある。
自殺ではないという説があるようだが、事故死あるいは暗殺説をとると、同性愛者であったことが消える。それゆえにここにあるのはホモフォビアによる同性愛隠蔽もしくは無視である以上、事故死も暗殺説も認められない。同性愛者がたどる悲しい運命である自殺こそ、彼に似つかわしい。
そして齧られたリンゴ。上記の記述からすれば、チューリングは、青酸カリを含ませたリンゴを齧って自殺したという可能性がたかい。現代のコンピュータの生みの親たるチューリングと齧られたリンゴ。これほどコンピュータ会社にふさわしいイメージは他にあるだろうか。
なおアップル社のロゴマークは、いまでもこそ、右側が齧られたリンゴで色は単色だが、このロゴマークになる以前は、リンゴには6色がグラデーションを形成するようにならんでいた。グラデーションをつけるときに縦縞でもいいのだが、横縞である。一番上の緑色以外は、虹のグラデーションとなっている。横縞である。レインボーカラーである。これはアメリカにおけるゲイのシンボルカラーであるレインボーカラー（横縞）を強く連想させる。
