せんと君の親戚

私の妹の家に、新婚当初から、大きな犬の木製の置物があって、それは夫が友人から買ったか、もらったかしたものだと聞いていた。


デフォルメされた犬なので、どういう種類の犬かは特定できないが、大きさはセントバーナード犬のような大型の犬である。いくつかのパーツを組み合わせているのだけれど、そのパーツがしっくりはまっていない。もともとはしっかり組み合わさっていたのだけれども、落として壊したかのように、パーツがきちんと組めなくなった。パーツとパーツの間に大きな溝というか隙間ができてしまった、そんな置物である。まあオブジェというべきか*1


このオブジェが話題になった。妹の夫が、友人から買ったものだった。当時、つまり、まだ夫が学生時代の頃らしいが(違うかもしれないが)、ひとつ2万円くらいで買ったらしい(5万だったか忘れた)。もともとは犬があくびをする連作の一体で、作者にとっても、初期の作品で、いまでは、それほど愛着はないらしい。


まあ、それでも妹夫婦は、バラバラに壊れそうなその大きな犬のオブジェを、それを保管できる大きな倉庫もないのかもしれないが、家のなかに置き続けている。その犬は、引っ越し先でも、階段の下に、今も鎮座して、来客を出迎えている。


ただ、繰り返しておくが、それはデフォルムされた犬で、マッスとして見れば、犬なのだけれども、どういう種類かは特定できない。また大きいけれど威圧感はなくて、なんとなく可愛らしい。


作者は、それはいまでは有名な人だといわれ、誰とたずねたら、せんと君の作者だと。あのかわいいような、気持ち悪いような、頭から角が生えている小さい坊さんのせんと君の作者。え、そうなの。これまで知らなかった。


となると、この犬の置物、せんと君の、歳の離れたお兄さん?お兄さんといわれるほど、親密な関係ではない。むしろ作者からは見捨てられているのかも。となると、遷都君のオジサン? まあ遷都君の遠い親戚のようなものか。

*1:後日確かめたところ、最初から、パーツとパーツの間には意図的に隙間が設けてあるとのことだった。