情熱大陸

逮捕された草なぎ剛(敬称略、「なぎ」は下書きでは正しく変換できるのだが、ブログに載せると文字化けするので、ひらがになのままにする)について、私は好きでも嫌いでもないので、なんら批判めいたことを書くつもりもないし、酒に酔っていても、暴力をふるったりとか、飲酒運転をしたりというわけでもないので、本来なら軽いおとがめで済んだと思うだが、人気者というのはそれで済まないというのがつらいところなのだろう。


以前、草なぎ剛が、情熱大陸(TBS系列)に出たことがある。ずいぶん前である。記憶も定かでないのだが、ひとつだけ強烈に印象に残っている場面があった。草なぎ剛が、取材スタッフと談笑しているときに、いつもの笑みを絶やすことなく、穏やかに、取材ディレクター(だと思うが)に対して、「エレベーターの中でみんなで僕の悪口を言っていたでしょう」と語ったのだ。べつに喧嘩腰でもなく、ただ穏やかにそう語ったのである。


しかしいくら穏やかに笑みを絶やすことなく語っても、そう言われたスタッフは穏やかではない。これに対して、ディレクターは「われわれは、そんな悪口は言っていないし、そもそも取材スタッフは、エレベーターを使わないから、エレベーターでの悪口は絶対にありえない」と。これに対して(ただし、昔のことなので、記憶が定かでないところもあるが)、草なぎ剛は、なおも穏やかに食い下がって、「ほんとうですか、悪口、言っていたでしょう」と続けていた。


実情はわからなかったが、取材スタッフ側の悪口言っていないという理由には説得力があったし、あと草なぎ剛も、ちょっとかまをかけて言ってみただけですと、最後に、話していたような、いなかったような、そんな記憶もある。要するに草なぎ剛の嘘であり、ある種、人を試す罠のようなものだったのだが、しかし、この人は、いったいどういう人なのだろうかと、疑問に思ったことは事実。たんなるパラノイアなのか、底なしの意地悪人間なのか。


とはいえ草なぎ剛に対しては、反感も憎しみもない。むしろ私にとっては英雄である。アナログテレビを、古いテレビで、あるいはコンピュータで見ている人間は、画面の右上に「アナログ」の文字が入ることを知っていることと思う。なんだこの押しつけがましさは。だいたい地デジ放送推進派は、そこまでするのかと、日頃から憎しみを感じていた。ほんとうに許しがたい。こういう地デジ推進派の最低の人間ども(すみません、人間は人間を裁くことはできないので、地デジ推進派の最低の行為といいかえます)に対しては、天罰が下るといいと思っていたのだが、今回、天罰が下った。ざまあみろと言いたい。地デジ推進派の宣伝部門はこれで大きな打撃をこうむっただろう。けっこう胸がすっとする。まあ神の鞭の役をさせられた草なぎ剛は、かわいそうだとしかいえないが、大丈夫、あなたのことをヒーローと思っている人間(アナログ・テレビ視聴者)は多いのだから