Tattooあり

4月27日の『グラン・トリノ』のつづき−−クリント・イーストウッド監督の映画では『ミスティック・リヴァー』で主役のショーン・ペンが最後の場面で、自責の念に苦しんでいるところ、ローラ・リニー演ずるところの妻(しかし、ローラ・リニーが演じた役では、もっとも薄汚れた女性だったが)が、反省することはない。力の強いものが街を征服するのだと夫を慰め、そのまま二人が抱き合う場面があって、その時、上半身裸だったショーン・ペンの二の腕(だっと思うが)に刺青があった。漢字で「力」(ちから)と。


さすがにこの「力」という漢字の刺青には、参ったというか、引いてしまったが、しかしそれも今回の『グラン・トリノ』に出てくる刺青のすごさの前には影が薄い。


映画を見た人なら忘れないと思うのだが、モン族(ミャオ族という表記は、いまではモン族は使わないようだが)が漢字を使うのかどうかわからないが、中国文化圏と接触したり、その内部で少数民族として生存してきたわけだから、漢字の読み書きはできるのだろうが、そのモン族の不良グループの一人が漢字の刺青をしていて、なんと、その漢字は「家族」。「家族(?!)」――なんじゃいそれは。まあ、「一家」とか「一族」とか「族」とか「チーマー」とか、そんな意味で使っているのかもしれないが、「家族」はおかしいっしょ。


このことを本日(5月8日)、ある人に話したら、たしかに外国人がへんな漢字の刺青をしていることはよくあって、その漢字が、文字、そのものはまちがっていなくても、用法がおかしいことが多い。なんとかしなくてはいけない。いっそのこと、刺青に使える漢字集のような本なり冊子をつくって、外国人に配ったほうがいいのではないかという話なった。


たしかに「刺青に使える漢字集」は、たとえ売れなくても、外国人にはぜひ持っていて欲しい。皮膚に描く刺青は簡単には消えないというか、一生消えない。その刺青の漢字が、思わず吹いてしまうような違和感200パーセントの漢字だったら、一生浮かばれないぞ。外国の刺青愛好者にとっては、必携本だと思うのだが。誰か作って。