Day 0

酒都にて


明日から広島大学での集中講義なので、東広島市の西条に来ている。本来なら大学内の学士会館に宿泊するはずだったが、学士会館が満室だそうで、こちらにまわされた。大学まで、たとえば路線バスでは15分前後かかる。前回は、年末で学士会館が閉まるということで、最後の一日は、大学の前にあるホテルだったが、今回は、駅前の東横イン。予定はわかっているのだから、部屋は確保しておいてもらいたいと思うのだが事情があるのだろう。


そういう私も、朝から緊張感を失い、東京駅の新幹線にぎりぎりの状態だったので、池袋駅で、新幹線の切符を変更した。出発前だったので、お金を損することなく自動支払機で変更し、結局、予定よりも40分遅れで出発することになった。


実際には切符を変更してから東京駅に着いたとき、まだ最初の予定の発車時刻前だった。だったら間に合ったのではないかといわれそうだが、重い荷物を持っているので、新幹線にほんとうにぎりぎりで間に合うか間に合わないかの状態だったため、もし間に合わなかったら、チケットの変更も面倒になるのではないかと思い、まあ、自分の判断は正しかったと思う。ただそれにしても、予定していた時刻に間に合わなかったのは緊張感のなさである。


久しぶりの西条だが、ここに泊まるのは二回目。最初はいまから2年前だと思うが、7月の初旬の大雨の土曜日で、人もあまりいなくて、さびれた町という印象を受けたが、今回、金曜日で、夏の明るい夕暮れのなかにたたずむ町並みは、賑やかではないが、たとえば駅が町の真ん中を通っている日本とは異なり、町はずれに駅があるようなイギリスの田舎町を連想させるところがある。いまは、町はずれだけれども、これから中心に行くと、どんどんにぎやかになる、そんな感じがして悪くない――実際には西条駅は町の中心だけれども。


そういえば二年前、泊まった時は、台風が接近していて大雨で、日曜日の朝、同行者たちは宮島観光に出かけたのだが、私は帰りを急ぎ一足先に、広島駅にむかった。台風の影響で、東海道新幹線が一部不通になったり徐行運転になっている。心配になって早めに広島駅に着いたが、新幹線の運行は不規則になっていて、私が乗る予定だった博多発・東京行きの新幹線は、なんと「名古屋行き」の表示を掲げている。私は生まれてはじめて、名古屋行きの上り新幹線を目撃し、それにのった。名古屋どまり。名古屋で一泊することを覚悟してのことだが、幸いにも新大阪あたりで、新幹線は正常化し、結局、1時間遅れで東京駅に着いた。名古屋で一泊することを覚悟して、あれこれ考えていたので、ちょっと残念な気もしたが。


昔のことはともかく、町はずれにあるような西条駅で西条の街をみていたら、幸福実現党が街頭演説し、運動員が波状攻撃してくる。早々に東横インに引き返した。