Day 1

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朝、東横インの朝食。むかしはほんとうにおにぎり二種類とお新香と味噌汁とお茶しかなかったが、またそれはそれで簡単でよかったのだが、今回は、ミニバイキングになっていて、おにぎり二種のほかに、野菜、煮物、いりたまごなどがあり、さらにパンもあり、またジャーにはご飯もあり、そのうえジュース、味噌汁もある。突然、豪華になった。たとえほんとうにミニバイキングでも、これでじゅうぶんである。サービスがよくなっている。


朝、部屋にもどって出発準備をしていると、部屋に電話が。誰が電話を。まちがい電話かと思ったら、大学の先生で、これからホテルまで車で迎えに行くという。外は雨が降っているので、ありがたいことはまちがいない。とはいえ外に出たら雨はやんでいたが。


授業は51人の登録者がいて、盛況だが、かぞえてみると、そんなにはいない。しかし午後二回めの授業にはたくさん出てきていて、午前中は第1回の授業は欠席し、午後から出席する学生もいる(この傾向は、翌日も続いた)。まあ、しかたないか。


昼休み、生協の食堂で先生と助教とTAで食事。土曜日というのに、大きな生協の食堂が満席。今日は体験入学をしている学部が多いからとのこと。たしかに食堂にいるたくさんの学生を注意して見ると、どうやら彼らは高校生のようだ。


昼食後、キャンパスの南の端の食堂から、北の文学部へともどった。起伏の多い道で、ただもどってかえってくるだけで疲れる。起伏の多い移動の道。ようやく広島大学へ来た気分がでてきた。


2 授業

ここで、集中講義でどんな授業をしているのか記録しておく。学部学生に対して、文学理論や批評理論をわかりやすく解説するものである。今回は学部2年生から聴講できるようになったとのこと。


授業計画は以下の通り。

第1回 序論 Englishの誕生
第2回 新批評とフォルマリズム
第3回 ロシア・フォルマリズムと受容理論
第2日(8月2日)
第4回 構造主義
第5回 ポスト構造主義
第6回 ポスト構造主義
第3日(8月3日)
第7回 精神分析批評1
第8回 精神分析批評2
第9回  フェミニズム批評
第4日(8月4日)
第10回 ジェンダー批評・クィア批評
第11回 新歴史主義
第12回 カルチュラル・スタディー
第5日(8月5日)
第13回 ポストコロニアル批評1
第14回 ポストコロニアル批評2
第15回 質問・補足

理論についての詳しい解説というよりは、むしろ理論を使って実際の作品を分析することを主眼とするので、ある意味でむつかしい授業である。つまり授業での解説から、その内容を自分でまとめてレポートを提出するというよりも、授業の内容を踏まえて、自分で作品を分析するために、分析・解釈する喜びはあるが、同時に、手も足も出ない学生が出てくるのも事実。


結局、私の課題レポートは、出さない学生が多い。レポートが書けた時点で、もう単位どころか、高評価が約束されるようなレポートである。事実、提出されたレポートには簡単に優劣はつけられない。だから評価は甘くなるのだが、しかし、私の授業は簡単ではない。レポートを出せないが学生がいっぱいるのだから。


なおこの授業は私が自分の大学でやっている授業のダイジェスト版である。本務校では半期と通年の場合があるが、また今年は通年で授業をしているが、そのダイジェスト版である。授業にはプリントを配布する。プリントは全部で50枚を超える。もっとも集中講義で100枚を超えるハンドアウトを作ったという人物を知っているが、それに比べたら少ないほうである。なおプリントは本務校で使っているのとほぼ同じ。もちろん今回の集中講義のためにアレンジをしたが、そのアレンジにけっこう時間がかかり、出発の前日までかかった。データは、メールで送り、TAはその日の分を作成した。


前回は20名いたかいなかの授業だったので、プリントがたくさんあっても大丈夫かと思ったのだが、今回は学部2年生も履修できるようになったため、履修者が50名に増えた。予想外のことである。


さて課題 レポートは以下の通り。

I本講義で扱った批評方法のうち、二つの方法を使って、一作品(英米の文学作品、映画作品に限る)を分析


II本講義で扱った批評方法のうち


1)新批評、フォルマリズム、受容理論構造主義ポスト構造主義のうち二つの方法を使って、一作品(英米の文学作品、映画作品に限る)を分析。


2)精神分析フェミニズムジェンダークィア、新歴史主義、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアリズムのうち二つの方法を使って、一作品(英米の文学作品、映画作品に限る)を分析。


上記、Iと?どちらかを選択すること。


使用言語 日本語(希望があれば英語も認める)


Iの場合、4000字(2000字×2)


IIの場合、4800字~8000字レポート2本(1200字×4=4800字 から 2000字×4=8000字)。


締切り、提出方法はあとで指示する。

本日の授業だが、まあ予定どおりできた。


3 次郎丸


夜はいつもの次郎丸で、歓迎会に。ここもまた、何度来たことだろう。マイクロバスで宿泊場所に連れて帰られる。まだ夜の9時である。明日の朝食のために買い出しに。とはいえまあコンビニでの買い物。若い店員が「エヴァンゲリオン」劇場版の話をしていて、すでに前回の劇場版から面白くないとぼやいている。正しい反応である。私は面白かったが、初めてエヴァを見る人間に、あんな総集編が面白いわけがない。今回の「破」も、熱心なファンでなければ面白いはずがない。実に正しい反応である。ほんとうに。


部屋に買ってから、バッグのなかに、ペットボトルのお茶と飲み物がある。あれ、これはコンビニで買ったの?お金を払うのをわすれた? 黙って鞄のなかに入れたら、たんなる万引きじゃないか。自分は、気づかぬうちに万引きしたのだろうか。それは問題だぞ。そんな馬鹿なと、あせってきたが、たしかにこれはコンビニでは買わなかったが、宿泊場所の自販機から買ったのだった。ほっとする。と同時に、睡魔が。どうも酒が残っているらしい。気づくと、朝の3時だった。