オセローの復習3


エピローグ 2009年篇
実は、私にとって、2009年はこれだけで終わりませんでした。この年、日本でも映画『私の中のあなた』My Sister’s Keeper(ニック・カサヴェデス監督2009)が公開されました。お涙頂戴の映画だろうと思って、半分、馬鹿にしていたのですが、見たら、泣けました。あれは、泣ける……。


まあ、それはともかく、この映画のなかでアレック・ボールドウィン扮する弁護士が、裁判所での審理の途中、裁判長に休憩を申し出て、足早に法廷を出て行きます。そして裁判所の廊下で倒れてしまい、てんかんの発作を起こします。この弁護士は、てんかんの持病を隠していたという設定ですが、フィクションというか映画のうえではあっても、これで、てんかんの発作で苦しむ人をみるのは4例目となりました。


まあ、現実の本物のてんかんではないので、目撃例には数えないほうがいいのかもしれません。蜷川演出の『オセロー』(吉田鋼太郎のオセロー、蒼井優のデズデモーナ)を授業中に舞台の実際を知るための補助としてみているのですが、あのなかでもオセローの発作は、てんかんをモデルにしていました。最後の場面でもオセローは、てんかんの発作を起こします。とにかく実際のてんかんではない場合は、目撃例に数えることはできないでしょう。ただ、いえることは、てんかんで苦しんでいる人たちが、いまもいるのだということです。


ちなにに、筒井康隆氏をめぐる「てんかん」問題・断筆事件があったのは記憶に新しいのですが、あれは言いがかりめいたもので、抗議のやり方も陰険であったので、筒井康隆氏にはいまも同情を禁じえないのですが、それとはべつに、てんかん問題は、まだ終わってはいない。それに苦しんでいる人びとがいることを新たに認識したのが去年のことでした。