前世

昨日の話。23日の補講のあとは、復学した学生と面接をして様子を聞いた。元気そうなので、安心。とくに問題はないのだが、その学生、小説を書くことにも興味があるということだったが、まあ小説家には興味がないので、とくに話を深めることもなかったのだが、いきなり、あのスコープドッグいいですよねといわれた。


一瞬なんのことかわからなかったが、装甲騎兵ボトムズのマシーンのこと。そのオール可動で着色済みの模型(なかにキリコのフィギュア入り)のことを指してのことだった*1てフィギュアは、買った。またスコープドッグは、ガンダムとは異なり、小さい。高さからして数メートルの戦闘マシンで、これは宇宙も飛べるガンダムの数十メートルの大きさからすると比べ物にならないくらい小さい(またエヴァンゲリオンよりもはるかに小さい)。とはいえ人間が着用する強化スーツよとはちがって、あくまでも中に乗り込み操縦する歩行マシン。「スコープドッグくらいの大きさのマシンが好きですね」とその学生がいうので、彼が書こうとしている(すでに書いたものもあるのかどうか聞き忘れた)が、ガンダム物などをアレンジし、その世界観を受け継ぎならが独自の世界を展開するような、ある意味ポップな小説とわかって、にわかに興味がわいてきた。まあ、その方面の小説の完成を祈るばかりである。


私の研究室は、いろいろなフィギュアとか模型が飾ってあるというよりも、書類と本の間に雑然とまじっているのだが、そのスコープドッグの模型は、エヴァンゲリオンのかなりできのいいアスカのフィギュア(綾波レイのフィギュアは好きではなかったので)の隣に飾ってある*2。最近の飾り物は、ここでも紹介した、レイモンド・ウィリアムズが戦時中に乗っていたM10ウルヴァリンの1/72の組み立て・着色済みのモデル。とはいえ1/72の戦車は、小さい。1/35のM10のプラモデルは購入しているのだが、かなり前に販売されたこのモデルは、あまり評判がよくないようだ。作ることなく、コレクションの仲間入り。残るは1/48のタミヤのモデルだが、1/48というサイズには、戦車にふさわしいスケールなのかどうかよくわからないので、当分は1/72のM10ウルヴァリンで満足するしかない。


なおそのあと大学院生とも、面接があったのだが(たいした面接ではない)のだが、在籍している院生のなかで、唯一生意気なというか(学問的に生意気なのは大いに奨励されるだが、そういう生意気さではなくて、もっと直接的に生意気なのだが)、あるいはあえて喧嘩を売って悪ぶっているのか、わからないが、私の指導生ではないこともあってか、面接が終わった後で、「くっだらないものが、いっぱい置いてある」とはき捨てるように言うではないか。べつに面接(ほかにも院生がいた)で険悪なムードになったとか、喧嘩しているということはまったくなく、まあ、逆になごやかな面接だったが、まあ、小ばかにしてそういったのである。


ただ、それにしても、スコープドッグが置いてあるのを面白がる学生がいるのかと思うと、「くっだらないものを置きやがって」とはき捨てるようにいう院生がいる。まあ「くだらないものが置いてある」と心の中で思うとか、あとで悪口をいうというなら、わかるのだが、面と向かっていうとは、なんたるやつだ。たとえ、そんなことをいうのはこの院生ひとりだとしても、やはり、わたしはのろわれた運命にあるしかない。


最近のわたしがよくいうことだが――確かに、正直いって、私はこれまで悪いことをいっぱいしてきた。たとえ犯罪ではないにしても、あるいは法に触れたようなことでないにしても、人に言えないようなことをいっぱいやってきた。でも、学生に、こんな失礼きわまりないことを、面と向かっていわれ、侮辱されような、そんなひどいことをしたことはない。ああ、きっと私は前世では、相当悪いことをやってきた(極悪人だったかもしれず)、その報いを今、この世で受けているとしか、考えられないではないか。

*1:いつもは、ボトムズ、キリコというかたちで、この模型を呼んでいるので、スコープドッグという名称が、一瞬思い浮かばなかったのだ)。『ボトムズ』は、実際のところろ、放送していたころからのリアルタイムのファンではあるものの、全部をすべてみたわけではない。何年か前にDVD化されて、セットで10万円を越える定価がついていたのだが、さすがに購入は控えた。中身はテレビ版の再録で、テレビならではの安い部分アニメで、それが味とはいえ、10万を越えるとなると、やはり、ファンでない顔をすることにした。 ボトムズは、ガンダムとほぼ同時期に1年間放送されたもので、ガンダムとは違い、ひたすら暗い。ハードボイルド的ともいえない、ただ暗いだけの作風は、しかし、かなり魅力的で、ファンも多いらしい。10万円のDVDセットはあきらめたが((なお今年になって新たに廉価版のDVDのセット(全3セット)が発売され、この8月に完結する。こっちの方は、どうしようかと迷っている。

*2:このアスカのフィギュアは、自分の手首を抑えている姿なのだが、これは何をしているのかと聞くことで、学生のエヴァの知識を試している。半分くらいの学生が、プラグスーツどうのこうのという正答を出したのはちょっと驚きだった。