銀河鉄道の夜(ハマコー2)


背任容疑で逮捕された浜田幸一衆議院議員については、過去の経歴を彩る派手なパフォーマンスを紹介するニュース映像で流れているが、そのなかで、当時の共産党名誉議長であった宮本顕治を人殺しであると語って騒然となっている議場を映す映像があって、そこでは、浜田幸一予算委員会委員長は、「みやざわけんじ(宮沢賢治)は人殺しである」と、はっきり言っている。「みやざわけんじ」と。


その映像をニュースでは、「みやざわけんじ」とはっきり聞こえるのに、しかし、「宮本顕治」と字幕が入っている。これはおかしくないだろうか。まあ、他の発言では「宮本顕治」と述べているので、言い間違いとして、本来なら「宮沢賢治」とすべきところ、「宮本顕治」と字幕にしたのは許容範囲ということだろう。


しかしハマコーは「みやざわけんじ」と言い間違いにしろ、はっきり言っているのであって、そこは正確に伝えるべきだろう。『銀河鉄道の夜』の作者を人殺し呼ばわりしたハマコーは、その点では謝るべきであろう。ちなみにネット上でも公開されている当日(1988年2月6日)の議事録では「ミヤザワケンジは人殺しである」と、カタカナ表記になっている。


なお、ここからが本題だが、このハマコーの言い間違いは、フロイトの錯誤行為理論を震撼ならしめる異例の間違いである。「宮沢賢治」のことを語っていて、日ごろ、共産党に悪い感情しかもっていなかった人物が、リンチ事件(その裁判が正当なものかどうかは、疑問だが)を思い浮かべ、名前の音が似ているから、思わず「宮沢賢治は人殺しだった」というような間違いをするのは、フロイト理論に合致する。


だが、「宮本顕治」の話をしていて、「宮沢賢治」と間違うのは、無意識の論理もへったくれもない、ただのバカ間違いであって、これにはさすがにフロイトもお手上げとしかいいようがないだろう。


唯一、可能性のある理由としては、ハマコーは「宮沢賢治」の名前を知っていても、「宮本顕治」という人物は、どんな人物か知りもしなかったし、そもそも聞いたこともなかった。要するに、なにも知らなかったのに、知ったかぶりをして恥をかいたということである。