国産鶏肉使用


 今年の5月名古屋で学会があったとき、院生から名古屋名物となった手羽先の空揚げのお土産をもらった。名古屋の手羽先の空揚げというと、調理済みのものがレトルトパックとか真空パックに入れてあって、あとはお湯であたためるだけというのがふつう。ところがその院生が私くれたのは、シーズニングして、揚げ粉をまぶした手羽先が真空パックされているもので、食べるには、それを自分で油で揚げて、さらにたれにまぶすというものだった。面倒くさい。
 しかしせっかくのお土産だし、私自身好きな空揚なのだから食べることにしたが、肝心の揚げ油がない。脂肪をとるのを控えている私は、空揚とか天ぷらは原則として家では食べない。そのため家にない揚げ油を買うところからはじめなければならなかった。
 面倒な思いをしながらも、首尾よく調理した私は、そのお土産が入っている箱の成分表をみた。鶏は、なんと、タイ産なのだ。これって鳥インフルエンザ騒ぎで、インフルエンザに感染している恐れがあって、価格が激減したはずのタイ産の鶏肉を安く仕入れて使っているってこと?
 なにも名古屋コーチンという高い鶏の肉を使えとはいわない。しかし国内産でいいのだが、よりにもよってタイ産の鶏肉とは。しかもその製品をつくっているところは、通販のカタログにも手羽先の空揚を載せている有名店だというのに(通販カタログに載っているからといってトップの店かどうかはわからないが、少なくとも有名店であることに間違いないだろう)。
 まあ毒ではないだろうし、火を通すものだから、安全とは思うが、なんとも感じ悪い。
 ところでなぜこんなことを思い出したかというと、本日18日、私は名古屋から東京に帰ってきたのが、名古屋駅売店手羽先を見つけたのだ。タイ産に懲りたので、手羽先を買おうとは思わなかったが、ふと置いてある数種の手羽先のお土産をみると、パッケージの目立つところに、目立つ赤字かなにかで、なんと「国内産鶏肉使用」と明記してあるではないか。しかも製造元が違う複数の製品のどれにも。
 やはりタイ産の鶏肉は、いやな感じがしたのだろう。名古屋でもたぶん問題になったらしいと想像がついた。