広島焼き&うどん

島風お好み焼き――というと広島の人からは、関西のお好み焼きを正統とし、それからはずれたものを「〜風」というのは、広島のお好み焼きを異端視していると批判されそうだが、お好み焼きには「関西風」と「広島風」の二種類があると思っているので、差別はしていません。


それはともかく、「広島風お好み焼き」の中には、具として麺類を入れることがある。私は中華麺がふつうだと思っていたのだけれども、一昨年広島に行ったとき、麺には中華麺のほかにうどんを入れることもあることを知って驚いた。自分でつくるときも、また注文するときも、中華麺にしていたが、それは焼きソバの連想で、中華麺がソースとか鉄板での調理によく合うと思っていたからである。うどんにはなにか違和感があった。


昨年の暮れ、広島大学の先生に、大学の近くのお好み焼き店に連れて行ってもらったとき、私は当然のことのように中華麺を具に選んだが、私が信頼し尊敬もしているその先生は、具にうどんを選んでいたことを思い出した。具はいつもうどんですかと尋ねたところ、いつもうどんだという答えが返ってきた。


それをふいに今日思い出した。広島風お好み焼きを自分で作ったのだが、中華麺がなかったので、うどんを具にいれることにした。結論――具は中華麺よりもうどんのほうがはるかに美味しい。


そば飯の中華麺が、ご飯のなかに混じって存在が消えてしまうように、広島風お好み焼きも、中華麺の場合は、キャベツのなかに中華麺が混じって、存在が消えてしまう。それに対してうどんは、太いので存在が消えない。存在を主張する。歯ごたえがある。そしてそのうどんに、キャベツから出たエキスやソースが絡んで絶妙な味になる。中華麺では味わえないうま味がうどんにからみついている。これからは広島風お好み焼きの麺類の具には、うどんしかいれないと決めた。

(2009年に入って、1月14日にもお好み焼き話あり。)