英文学会新体制案1


日本英文学会は、2009年度から新しい体制にかわることになっている。これは新しい法人組織に関する法律ができたために、組織の刷新を求められたからで、会員の活動そのものに変化があるわけではないが、組織形態がかわることは事実である。


新組織では、日本全国を七支部(北海道、東北、関東、中部、関西、中国・四国、九州)にわけ、各支部から評議員をひとりづつ選出し、7名の評議員によって、評議員会を構成し、そこで学会の規則などをつくっていく。また評議員会では理事を選出し、理事会では理事の互選によって、会長を決定する。理事会は学会の具体的な運営にたずさわる。


これが新しい組織の概要である。全国大会は、これまでどおり開催されるし、学会誌もこれまでどおり発行される。会員にとって、大きな変化があるわけではない。


こう書けば、特に問題はないように思われる。ところがこれが問題だらけなのだ。一番大きな問題は、全員が支部に属していないことである。これはおかしな話だが、支部に属している会員と支部に属していない会員が、2009年以降も存在する。


つまり会費を10000円(支部会費3000円*1、本部会費7000円)を払って、特定の支部に属し、評議員を選ぶ/評議員になれる資格がある会員と、本部会費7000円だけ払い、支部には属さず、選挙権のない会員と、二種類の会員がいることになる。このような体制は、2009年になっても変わらない。


これをどう解消するのかというと、新規会員は、必ずどこかの支部に属し、1万円払う。本部会費のみということは認めない。いっぽう、すでに英文学会会員の場合は、支部に属しても、属さなくてもいいということになった。


これを解消するには、たとえば会費を一律1万円にして、全会員を必ずどこかの支部に所属させることが考えられる。それでいいと思うのだが、そのような強引なやり方は、反発を招くと考えたのか、予定に入っていない。


あとは現在、会員で支部に入っていない、どちらかというと高齢の会員が、歳をとって、学会を辞めるまで待つということなのかもしれない。いまから10年後には、そうした老齢の会員は、学会を脱会しているだろう。あとは支部に入っている若い会員たちだけになる。1万円の会費を払って、支部に属している会員が学会を支えることになる。


もちろんそんなにうまくいくことはない。10年ぐらいたったら、様変わりするかもしれないが、文科省が認めているのは、5年間という移行期間である。いまから5年後に、老齢者がいなくなるとも考えられない。また、理由があって、現在、すでに会員となっている若い世代でも、支部に入らない会員がいたら、彼らは10年たっても、元気であろう。


となると、強制的に支部会員にしない限り、新体制には移行しないことになる。しかし強制的に支部会員にすれば、反発が起こり、それで逆に辞めてしまう会員もいるだろう。


これが現在の問題である。20年後には、この問題は自然に解決しているようにも思うが、絶対に支部に入らない会員が、学会をやめるまでには、30年くらいかかるのではないか。


こうした改革案を作った人たちが、誰なのか、正確なところは知らない。まあ、これまでの理事会メンバーだろう(メンバー全員が積極的に計画案づくりに参加したかどうかはわからない)。また表に出ていない人物もいるかもしれないが、そうした人物については、こちらはなにもわからない。


ただ、あの人たちだろうと推測はできる。そしてそうした人たちは、これはお世辞でもなければ、皮肉でもまったくないのだが、きわめて有能な人たちである。いろいろなことを見通せて、なおかつ賢明な判断ができる人たちである。とにかく、わたしと比べた場合(比べる相手が悪すぎるかもしれないが)、とにかく優秀である。わたし自身、たしかに尊敬している。


けれども、そうした人たちが、なぜ、こんなずさんな案をつくったのかと、やはり唖然とせざるをえない。


そこでわたしも、ない知恵を絞って代案を考えたい。こうした代案が審議されているということでは全くない。もし審議されていたら、いくら情報公開が求められているとはいえ、充分に案が練り上げられるまで、ここに書かないほうがいいだろう。したがって、以下の、ことは、あくまでも私の空想である。執行部のなかで審議されてなどいないし、提案すらされていない。まあ、自由に自分のファンタジーを書くのは、こういうところだからこそ許されると思う。


私が考える案とは、全国を七つの支部に分ける。ただし「支部」という名称が使われているので、混乱を避けるために、「地区」とする。全国を北海道地区、東北地区、関東地区、中部地区、関西地区、中国・四国地区、九州地区に分ける。そして会員を機械的に各地区会の地区会員にする。ただし、地区会会費はとらない。したがって地区会会費なし、値上げなしで、名目だけ地区会会員になるだけである。終わり*2


あとは各地区会から選挙で評議員を選び、評議員会で理事を選ぶ。全員が投票権をもつ。新体制への完全移行は、老齢の会員が辞めていなくなってからという、消える老会員を待つなどという、どこかの国の後期高齢者切捨てのような冷酷な真似をすることなく、会員は一人残らず、地区会員になる。100パーセントの組織率である。べつに威張ってもしょうがないが、これが本来のことでしょう。


さて、この案の問題については次回に考える。

*1:現時点では支部によって会費が3000円ではないところもある。将来統一されると見込んで、3000円とした。なお学生会員はこれよりも安いが、とりあえず一般会員を考える。

*2:地区会とか地区会会員というような表記は、もう少し考えるべきだが、とりあえず、こうしておく。