2006-01-01から1年間の記事一覧

ナイトメア 6

真昼の暗黒。本日、大学に行くために電車に乗った。12時27分。これでいくと大学への到着時間はどんなに遅くとも午後1時5分。1時10分からの授業にはじゅうぶん間に合う。 しかし12時30分を過ぎた頃に、人身事故のため停車しますとアナウンスがあった。列車は…

ナイトメア 5

日曜日の催し物ネタの続き。 主催側の人から、休憩時間中、おばさまがご病気ですかというようなことを聞かれた。 ええ、皮膚に腫瘍のようなものができて云々と自然に受け答えができたのだが、本来ならそのときに異常事態に気づくべきだった。 伯母の皮膚の腫…

ナイトメア 4

ようやく今日の悪夢が始まった場所にもどってきた安堵とともに、どっと疲れが押し寄せてきた。とはいえ今日の催し物の準備のために見ることにしていた映画のうち、『スリー・オブ・ハーツ』のDVD*1が届いていた。これでも観てから寝ることになるのだろうか。…

Zaw 1 Elephant Vanishes

10月7日、東京大学現代文芸論立ち上げのための記念講演会というのに行ってきた。そのなかで沼野充義教授が、「象を呼べ」という話をされたが、この「象を呼べ」というのは、ハーヴァード大学におけるロマン・ヤコブソンンとナボコフの葛藤を示す逸話につ…

Dirty Pretty Things

最近はわけのわからない事件が多い。 ある女性が自分の娘を殺した。しかし警察は、それを事故と認定。娘を殺した母親にしてみれば、警察が誤った認識をしてくれたので、一安心。殺人の容疑がかからなくて安堵するところ、自分で殺しておいた娘のことを、これ…

同窓会

この世にいる人間は、二種類の人間に分けられる。学校によい思い出を持つ人間と、悪い思いでしか持たない人間、と。 私は高校時代によい思い出はない。高校時代の友達もいない。前にいた大学で、同級生が別の学部と教員となった。最初、挨拶されても誰だかわ…

ナイトメア 3

ワイドスクランブル(テレビ朝日、正午頃)で、北海道滝川市の小学生6年生の女子がいじめを苦に自殺したことを市の教育委員会が隠していたことが取り上げられた。いじめを告発した遺書(そこにはいじめをした児童(複数)が名指しされていた)の内容を隠して…

ナイトメア 2

以前、母と妹が、東京にいるはずの私に名古屋で会ったかと思った、そんな体験を話してくれたことがある。母と妹は、前を歩いている人物(正確には、その後姿)が、私にそっくりだと気づき、東京から予告なしに突然帰ってきたのだと考え、あとを追いかけたら…

ナイトメア1

目が覚めると、私の足元のところで男性が立てひざですわってダンボール箱に荷造りをして、伝票らしきものを書いている。机に向かって座ったまま、うたた寝をしたらしい。いやうたた寝とはいえないほど、長く眠っていたのかもしれない。いずれにせよ、お客さ…

新内閣誕生

安部晋三自民党総裁が首相に指名されて組閣が行われた。新内閣の誕生のたびに、私は亡き母のことを思い出す。 まだ文科省が文部省であった頃の話。文部省に提出する書類を作成しなければならなくなった私は、当時の文部大臣の名前を忘れた。 ほんとうに一刻…

あっちゃん、かっくいい

Thank You For Smoking 2 これは実話である。ただし目撃したわけではないので、誇張もはいるかもしれない。関係者はすべて知っていることなので、口外しないでね。 先に、イギリスの警察署で禁煙の表示があるにもかかわらず平気で喫煙していた傍若無人な男に…

流れよ我が涙と…… Thank You for Smoking 1

思い出話だが、イギリスに到着してから、外国人登録しようと町の警察署に行ったら、うちではやっていないから、レミントン・スパーLemington Sparの警察署へ行けといわれた。はじめての土地で、いきなりよその市の警察署を指定されても困るのだが、書店で地…

病院へ行こう

病院に行ってきた。自分の病気のせいではなく、身内の病気の説明を聞きに。問題は病院の中ではなく、病院に行く前に起こった。道に迷ったのである。 はじめて行く病院だったので、ウェブ上のサイトから略地図をダウンロードした。地下鉄の駅からすぐ近くで、…

メデューサ効果

筒井康隆の「日本以外全部沈没」を読むために、電子ブックの文庫版をダウンロードしたことを先に書いたが、そのときいっしょに『小松左京短編全集2 影が重なる時』も購入した。表題作「影が重なる時」は、昔読んで、ひどく感銘を受けた作品であり、収録作品…

酩酊船

酒酔い運転、酒気帯び運転、どちらにしても酒を飲んで車を運転する事故が増えていて、いっこうになくなる気配がない。私は車を運転しないが、私の周囲では、酒を飲んだら絶対に車を運転しないことを守る人たちが多く(当然か)、また周囲でも酒酔い運転を絶…

国産鶏肉使用

今年の5月名古屋で学会があったとき、院生から名古屋名物となった手羽先の空揚げのお土産をもらった。名古屋の手羽先の空揚げというと、調理済みのものがレトルトパックとか真空パックに入れてあって、あとはお湯であたためるだけというのがふつう。ところが…

王政復古期のオセロー

17日名古屋の某私立名門校の英文学会でゲストとして講演をした。「ジェンダーと人種のはざまで――王政復古期のオセロー」というもので、王政復古期Restoration時代の演劇というきわめて狭い話題ながら、そこはすこし広げて西洋の人種の表象とか現在のジェンダ…

BR話 二題

1 これは昔、イギリスのテレビで見たコント。British Railの会議室、総裁が幹部たちから一年間の業務報告を受けている。その内容というのは時刻どおり定時運転できた列車全体の15パーセント、遅れて定刻どおり目的地に到着しなかった列車50パーセント。…

世の習い

ムフティーというのは何か、ご存知だろうか。平凡社世界大百科には「ムフティー」という項目があり、以下の説明がある。 ムフティー mufti(iにはアクセント記号の「 ̄」が入る) イスラム法の解釈・適用に関し意見を述べる資格を認められた法学の権威者。シ…

A Road Taken

*A Road Taken By All1. 今年の上半期のある授業でシェイクスピアの『リチャード三世』を読んだ。そのとき、ロンドン塔に捉えられているリチャードの兄クラレンスのもとへ、リチャード自身が暗殺者ふたりを送り込む場面が話題になった。なぜなら、いざ殺す…

鉄道マニア

英文学者の小池滋氏は、私とは専門が違うので、授業などを受けたことはないが、受けていれば自然と「先生」と呼びたくなるような、教育者としても研究者としてもすぐれた人物だと思う。 そして小池氏は、もちろん良く知られた鉄道マニアで、その盛名はメディ…

殺してもゆるされる

最近の飲酒運転による人身事故は、福岡での子供三人の死亡以来、反省によって少なくなるかと思ったら増える一方である。 しかし、こうした事故のたびに思うのは交通事故による処分の甘さであろう。交通事故の場合、事故だから故意ではないということで、人を…

ボディ・スナッチャー

映画『太陽』が話題になったとき、日本人が見ても違和感のないつくりであったことが、共通の認識となった。それにくらべればと、話題に登ったのが昨年の映画だが映画『さゆり』であった。 中国人の女優が主要な芸者すべて独占するこの映画は、日本人から見て…

『太陽』

メールありがとうございます。 以下の私のメールを、 いただいたメールとともに全員に転送してはどうでしょうか。 今回の映画『太陽』について海外での評判を一部調べてみました。 概ね高い評価を得られているようです。 ソクーロフは人気が高い。 また海外…

Almost Unfamous 無名人の悲哀

親王誕生について批判めいたコメントを掲載した乙武氏のブログにコメントが殺到、ブログが「炎上」したことが報じられた。乙武氏の意見に賛同するコメントも寄せられたのだが、おそらくそれは攻撃を煽るためのフェイクだろう。結局、乙武氏がブログ上で謝罪…

サニーレタス、ちしゃ、サンチュ

レタスの一種、サニーレタスというのは、葉先が赤紫色のもので、サニーレタスと呼ぶようになって、この名前が定着している。関東のスーパーや野菜店では、この名前で呼んでいる。わたしはこれを西では「ちしゃ」と呼ぶものと考えていた。 レタスの一種、ちし…

ファイナル・アンサー

映画『アバウト・ア・ボーイ』*1を見たことがある人なら、映画の冒頭、テレビで放送されているクイズ番組に驚くはずだ。司会者と解等者が一対一で繰り広げるその番組は、四択クイズで、司会者が最後に「ファイナル・アンサー?」と念を押す。そしてあの聞き…

怖い夢

学生たちが、よく見る怖い夢について話しているのを聞いたことがある。乗っている飛行機が墜落する夢など誰にとっても怖そうな夢があるいっぽうで、当人にしか怖さのわからない夢も多い。夢は、本人の生活や人生と深く関わるものだから、それは当然のことだ…

よいムスリム

アメリカ西部開拓時代には、先住民(いわゆる「インディアン」とかつて呼び慣わされていた人びと)のことを差別的に、「死んだインディアンだけがよいインディアン」と呼んでいたということは、有名な話である。 ダワーの『容赦なき戦争』によれば、第二次世…

「回教徒」と訳すな!

ジョルジョ・アガンベン『アウシュヴィッツの残りもの――アルシーヴと証人』上村忠男・廣井正和訳(月曜社2001)は、ホロコーストにおいて収容所でユダヤ人たちが「ムスリム」と呼ばれていたという興味深い事実を報告し論じている。それは、この本のきわめて…